臨床薬理の進歩 No.41
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( ytilalomsO( retaW fonoitcarFgnniameRMμ( 4-DF fo noitartnecnoC)% i 00/)0)gkmsOmApple juiceOrange juiceGrapefruit juiceIsosmotic solution(Mannitol)SalinePurified waterSalineApple juicePurified waterIsosmotic solution(Mannitol)Purified waterSalineIsosmotic solution (Mannitol)Apple Juice30405060200150100501020Time (min)3020109008007006005004003002001000(A)図3 ラット消化管内におけるFD-4濃度に及ぼす溶液浸透圧の影響(B)******(図1)。その結果、消化管内水分残存率は、いずれの部位においても時間依存的に減少し、空腸および回腸に比べ大腸において早い水分吸収が観察された。また、これらの水分残存率は60分まで減少傾向を示し、それ以降は緩やかな水分消失あるいは見かけ上定常状態に達した可能性が示唆された。一方、ラット消化管内における溶液浸透圧を経時的に観察したところ、浸透圧変化と水分吸収過程との間に一定の関係がある可能性が見出された(data not shown)。消化管内水分量に及ぼす溶液浸透圧の影響 ラット消化管内水分量に及ぼす投与溶液の影響に関する検討を行った(図2A)。その結果、精製水および生理食塩水で時間依存的な水分吸収が観察された一方で、mannitol等張液およびアップルジュース(apple juice, AJ)では水分吸収は観察されず、むしろ水分分泌傾向を示した。一方、各溶媒の浸透圧を測定したところ、溶媒の浸透圧と水分吸収性との間に負の相関性が確認された(図2B)。したがって、AJによる水分分泌はその高張性に起因している可能性が示唆された。消化管内薬物濃度に及ぼす溶液浸透圧の影響 溶液浸透圧に起因した消化管内水分動態変動が、図2 ラット消化管内水分量に及ぼす溶液浸透圧の影響(A)ラット空腸内水分量に及ぼす溶液浸透圧の影響、(B)各種試験溶液における浸透圧。 Data are means ± SEM(n = 6-9).(文献11より改変)消化管水分挙動解析に基づく薬物吸収動態変動(相互作用)予測法の確立**P < 0.01, significantly different from purified water(one-way ANOVA followed by Dunnett’s test). Data are shown as means ± SEM(n = 6-9).(文献11より改変)間接的に薬物濃度に影響を及ぼす可能性が推察される。そこで次に、FD-4の投与後30分における消化管内濃度に対する投与溶液の影響に関する検討を行った(図3)。その結果、最も水分吸収性が高かった精製水の投与時において、投与濃度(10 μM)を超える高い消化管内濃度が観察され、薬物濃縮が生じている可能性が示唆された。同様に、生理食塩水においても薬物濃縮が生じている可能性が示唆された。一方、水分変動が観察されなかったmannitol等張液においては、FD-4濃度の変動は観察されず、水分動態と矛盾のない結果が得られた。91

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