臨床薬理の進歩 No.41
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*1 YAMADA TAKAHIRO *2 MINO YASUAKI *3 NAITO TAKAFUMI *4 KAWAKAMI JUNICHI 山田 尚広*1  見野 靖晃*2 内藤 隆文*3 川上 純一*4はじめに要   旨Key words:ボリコナゾール、Nオキシド体、フラビン含有モノオキシゲナーゼ3、遺伝子多型、有害反応Pharmacokinetic and pharmacodynamic evaluation of VRCZ N-oxidation metabolic pathway in immunocompromised patients トリアゾール系抗真菌薬のボリコナゾール(VRCZ)は、呼吸器内科領域のアスペルギルス感染症の治療や血液内科領域の免疫不全患者に対する真菌感染症発症の予防に用いられる。VRCZは真菌感染症において血中濃度と治療効果とが良好に相関することが報告されている1)。一方で、VRCZの血中濃度は肝機能障害の有害反応とも相関することが報告されており2)、本邦では抗真菌薬で唯一治療薬物モニタリング(TDM)の対象薬として保険適用が認められている。 VRCZの薬物動態は臨床用量において個体間で大きくばらつき、その要因としては薬物相互作用や ボリコナゾール(VRCZ)の主代謝物のNオキシド体(VNO)は、VRCZの有害反応である皮膚障害等との関連性が報告されているが、その詳細は明らかでない。本研究ではNオキシド化経路におけるVRCZの体内動態 特性および有害反応との関連性について明らかとすることを目的とした。対象はVRCZを投与中の患者65名とした。定常状態におけるVRCZ投与直前のVRCZおよびVNO濃度を測定し、主代謝酵素の遺伝子多型との関係性 および有害反応との相関性について評価した。VRCZの主代謝酵素であるフラビン含有モノオキシゲナーゼ3(FMO3)のE158K/E308G遺伝子多型群は野生型群と比較して代謝比(VNO/VRCZ)が有意に高値であった。本研究によりFMO3のE158K/E308G遺伝子多型はVRCZのVNOへの代謝を活性化する因子の一つである ことが明らかとなった。一方で、有害反応とVNO濃度との直接の関係性については確認されなかった。浜松医科大学医学部附属病院 薬剤部      同   上      同   上      同   上炎症反応、薬物代謝酵素の遺伝子多型などが挙げられる3)。VRCZは主に肝臓でシトクロムP450(CYP)分子種等により代謝を受け、フルオロピリミジン環のNオキシド化によりNオキシド体(VNO)へと変換される。VNOはほとんど抗真菌活性を有さないが、VRCZのNオキシド化過程では代謝飽和が起こり、それがVRCZの非線形の薬物動態の一因であることを以前我々は報告し、VNOに着目することの重要性を示した4)。VRCZの代謝酵素としては、CYP分子種の中ではCYP2C19と3A4が大きく寄与している。特にCYP2C19は遺伝子多型を有しており、CYP2C19*2またはCYP2C19*3変異保有群では野生型のCYP2C19*1保有群と比較して4倍のVRCZ曝露量になることも報告されている5)。108易感染性患者におけるVRCZのNオキシド化代謝経路に着目した薬物動態・薬力学的評価

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