臨床薬理の進歩 No.41
124/216

表1 患者背景患者数, 男性/女性投与量(mg/回)年齢(歳)体重(kg)血清アルブミン濃度(g/dL)総ビリルビン濃度(mg/dL)アスパラギン酸アミノ基転移酵素活性(IU/L)アラニンアミノ基転移酵素活性(IU/L)γ-グルタミルトランスフェラーゼ(IU/L)尿素窒素(mg/dL)推算糸球体濾過量(mL/min/1.73 m2)血清クレアチニン濃度(mg/dL)C-反応性タンパク(mg/dL)白血球数(/µL)中央値(四分位範囲)を示す。Mann-WhitneyのU検定。結  果薬物動態解析評価 VRCZの代謝はVNO濃度をVRCZ濃度で除した代謝比を用いて評価した。VNOへの代謝における飽和性を評価するための代謝飽和指数は、代謝比の逆数とVRCZ濃度との間の回帰直線の傾き(相関係数)と定義した。統計学的解析 統計処理には、SPSS®バージョン22.0(日本IBM㈱、東京)を用い、危険率5%未満を有意差ありと判定した。患者は、FMO3の遺伝子多型を、変異の無い野生型群、E158K/E308G遺伝子多型群、V257M遺伝子多型群の3群に分類した。 CYP2C19表現型に関しては、CYP2C19 *1/*1を高代謝(EM)群、CYP2C19 *1/*2およびCYP2C19 *1/*3を中間代謝(IM)群、CYP2C19 *2/*2、*2/*3、および*3/*3を(PM)群の3群に分類した。FMO3およびCYP2C19における各群のVRCZの血中動態パラメーターへの影響はDunnのpost hoc test、Kruskal-Wallis検定を用いた。FMO3またはCYP2C19遺伝子型の各群から得られた代謝飽和指数の違いは、t検定を用いて評価した。患者背景 表1に本研究の患者集団の特徴を示す。それ以外の情報として、本患者集団の基礎疾患は、肺アスペルギルス症30名、急性骨髄性白血病13名、真菌感染症疑い12名、悪性リンパ腫9名、およびカンジダ食道炎1名であった。VRCZ濃度は中央値2.59 μg/mL、四分位範囲1.44-5.0 μg/mLであり、VNO濃度は中央値1.56 μg/mL、四分位範囲1.09-1.99 μg/mLであった。FMO3の野生型、E158K/E308G、およびV257M遺伝子型の患者数は、それぞれ27名(41.5%)、20名(30.7%)、および18名(27.7%)であった。CYP2C19 EM、IM、およびPM群の患者はそれぞれ22名(33.8%)、33名(50.8%)、および10名(15.4%)であった。VRCZの薬物動態に対するFMO3遺伝子型の影響 VRCZの用量中央ds値(mg/kg)は、FMO3野生型群で3.85 mg/kg、E158K/E308G群で3.48 mg/kg、V257M群で3.75 mg/kgあった。VRCZの投与量補正濃度の中央値は、FMO3野生型群では0.78 μg/mL/mg/kg、E158K/E308G群では0.49 μg/mL/mg/kg、V257M群では0.58 μg/mL/mg/kgであった。FMO3 E158K/E308G群のVRCZ濃度は、野生65, 43/22200(150–200)67(59–73)51.1(40.8–56.7)2.9(2.3–3.4)0.6(0.4–0.7)27(18–41)24(16–41)24(16–41)13.7(11.2–19.8)70.8(55.0–94.3)0.69(0.54–0.98)1.66(0.41–3.37)6535(3475–7615)110*3変異を有さない場合にCYP2C19*1の野生型とした。

元のページ  ../index.html#124

このブックを見る