00●●HSCTHSCT非血縁者間骨髄移植のパイロット試験daydayFLU(30 mg/m2)FLU(30 mg/m2)BU(AUC 45−65 mg/L×h)BU(AUC 45−65 mg/L×h)ATG(2.5 mg/kg)ATG(2.5 mg/kg)−8−8▲▲−6−6−7−7▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲−5−5−4−4−3−2−1−3−2−1TBⅠ(3 Gy)TBⅠ(3 Gy)ブスルファン(BU)利点:放射線照射に匹敵する免疫抑制効果・殺細胞効果欠点:薬剤代謝の個人差による適正量の設定困難過量投与過少投与臓器毒性過剰な晩期合併症生着不全再発量が規定される用量決定では、適正な用量で使用されていない可能性がある(図1)。また、前方視的試験での評価がまだ不十分なために、移植前処置としての最適な用量設定や他の薬剤との組み合わせを確立できていない。 そこで本研究では、BUを前処置より先に投与する「試験投与」後の血中濃度測定により個々の患児における体内動態を把握し、実際の前処置においては個別化した用量設定を行うセッティングで、前方視的な臨床試験を行った。さらに、BUの代表的な副作用であるけいれんを予防するために投与される抗けいれん薬の適正使用法についても検討した。1. 慢性肉芽腫症に対する用量調整BUを用いた背景 慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease, CGD)は食細胞の活性酸素産生障害に起因する原発性免疫不全症で、乳幼児期から細菌・真菌感染を図1 ブスルファン(BU)の適正な用量投与の重要性BUは全身放射線照射を回避するために重要な選択肢であるが、薬物代謝に個人差があることで、過量投与により毒性が強くなる、もしくは過少投与により期待される効果が出ないリスクがある。図2 臨床試験における前処置BUは試験投与を行い、合計AUC 45-65 mg/L×h(約60%量)を目標に減量して16分割で投与した。EBMTによる原法との改変点はATGを10 mg/kgから5 mg/kgに減量したこと、アレムツズマブをTBI 3 Gyに減量したことである。FLU:フルダラビン BU:ブスルファン ATG:抗胸腺免疫グロブリン繰り返す遺伝性疾患である3)。CGDに対する根治治療は同種HSCTであるが、その移植前処置は標準化されるには至っていない4)。一方で、2014年のLancetにおいてthe European Group for Blood and Marrow Transplantation(EBMT)から、重要な報告がなされた5)。56例の中央値12.7歳のCGD患者に対して、半数以上が非血縁ドナーからの移植で、フルダラビン(Fludarabine, Flu)、用量を調整したBU、抗胸腺免疫グロブリン(Anti-thymocyte globulin, ATG)、非血縁ではアレムツズマブを使用するもので、2年無イベント生存率が91%、全生存率が96%、52例が90%以上のドナーキメリズムを維持していた。この前処置法はCGDに対する標準的な前処置法になりうると考えられるが、本邦の小児における検証が必須であった。方法 我々は、EBMTの前処置を一部改変し、2例のCGDに対して非血縁者間移植を実施し、良好な経過を得て、日本造血細胞移植学会雑誌に報告した6)。BUは原法と同様に試験投与を行い、AUCで45-65 126
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