臨床薬理の進歩 No.41
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*1 HIRAI KEITA *2 SHIRAI TOSHIHIRO *3 ITOH KUNIHIKO 平井 啓太*1  白井 敏博*2 伊藤 邦彦*3はじめに要   旨Key words:COPD、microRNA、ステロイド抵抗性、層別化治療、喘息Development of biomarkers to stratify drug therapy for patients with COPD 慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡者数は減少の兆しがなく、全世界では第3位に位置すると推定されている。このことは、COPD患者の増加を意味するだけでなく、COPDに対する薬物療法が病状の進行を抑制するのに十分でないことを示している。現在、COPD患者における新規治療薬の開発が行われているが、同時に同じ気道疾患である喘息の治療薬をCOPD患者で用いることができないか検討されている。喘息治療薬である吸入ステロイドは、喘息患者における予後改善に大きく寄与しており、また最近ではステロイド治療に対し抵抗性を示す喘息患者に対し、インターロイキン5(IL-5)などのサイトカインを標的とした新規抗体製剤も臨床で適応可能となった。 COPDと喘息の類似性は以前より指摘されて 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の予後改善を目指し、喘息治療薬で治療可能なCOPD患者を層別化する ことの重要性がさけばれている。喘息・COPDオーバーラップ(ACO)はCOPDと喘息の両方の特徴を有する症例を指し、これらの患者では喘息治療薬による有効性が期待される。そこで、はじめにACOの診断モデルの構築を目的に、血漿中microRNA(miRNA)を探索した結果、5つのmiRNAがACO患者に特徴的な発現を示し、予測精度の高い診断モデルの構築に成功した。さらに、次に新規喘息治療薬である抗インターロイキン5受容体抗体(ベンラリズマブ)の有効性が期待されるCOPD患者を層別化するバイオマーカーの構築を行った。その結果、ステロイド抵抗性に関わる分子がベンラリズマブの効果予測マーカーとなる可能性が示唆された。本研究は COPD患者における治療層別化の実現に寄与すると考えられる。静岡県立大学薬学部 臨床薬効解析学分野、静岡県立総合病院 ゲノム薬理研究室静岡県立総合病院 呼吸器内科静岡県立大学薬学部 臨床薬効解析学分野、静岡県立総合病院 ゲノム薬理研究室おり、COPDと喘息の両方の特徴を有する症例が臨床において散見された。近年、このような症例は喘息・COPDオーバーラップ(Asthma-COPD overlap, ACO)と定義され、一定程度のCOPD患者がACOに該当すると考えられている1)。しかし、ACOの定義付けがされたものの、その病態は明らかとなっておらず、診断基準の構築には至っていない。我々はこれまでに、喘息の病態マーカーである血清ペリオスチンと、COPDの病態マーカーである血清YKL-40を組み合わせたACO診断モデルを報告してきた2)。本研究では、さらに有用な診断モデルを構築するため、病態マーカーとして様々な疾患で有用性が報告されている血中microRNA(miRNA)に着目した。ACO患者を適切に診断することは、COPD患者の中で喘息の特徴を有する患者を層別化することに繋がり、吸入ステロイドなどの喘息治療薬で治療可能なCOPD患者を特定する133COPD患者における治療層別化バイオマーカーの構築

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