臨床薬理の進歩 No.41
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*1 KATAOKA YU *2 KUYAMA NAOTO *3 YASUDA SATOSHI *4 SHIBA MARIKO 片岡 有*1  九山 直人*2 安田 聡*3 斯波 真理子*4はじめに要   旨Key words:スタチン、LDLコレステロール、proprotein convertase subxilisin/kexin type 9The association of PCSK9 with response to statin therapy 本邦では、高齢化や食生活の欧米化等により、動脈硬化に起因する虚血性心疾患 (狭心症・急性冠症候群)の発症が増加している。その患者数は、平成20年度において80万人にも達しており、今後も更なる増加が見込まれている。特に、急性冠症候群は、心筋梗塞発症や心臓性突然死につながる高リスクの病態であり、その対策は重要である。 高LDLコレステロール(LDL-C)血症は心血管疾患発症に寄与する重要な危険因子であることが多くの大規模研究により報告されており、LDL-Cへの介入は心血管イベント発症予防の観点から重要である。LDL-Cに介入しうる薬剤として、 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、心血管疾患発症に対する有効な予防対策であるが、 一部の症例ではスタチン投与にもかかわらずLDL-C低下効果が不良となり、心血管イベント発生につながる 症例も存在する。脂質代謝において、肝細胞から分泌されるプロテアーゼ(proprotein convertase subxilisin/kexin type 9; PCSK9)が重要な役割を担い、生体内において2つのサブタイプ(mature型、furin-cleaved型)として存在する。本研究は、スタチンに対する反応性低下におけるmature型、furin-cleaved型PCSK9の関与を検証した。冠動脈疾患症例80例を前向きに登録し、スタチン投与前・投与から1ヶ月後にLDL-C値、mature型、 furin-cleaved型PCSK9を測定した。高用量スタチンは、45%の症例において使用され、スタチン開始から1ヶ月 後のLDL-C値の低下率は40%であった。登録時のmature PCSK9は、LDL-C低下率と有意な負の相関を示した。多変量解析にて、mature PCSK9はスタチンによるLDL-C低下率に関連していた。本研究結果から、mature PCSK9がスタチン反応性に寄与する因子であることが確認された。国立循環器病研究センター心臓血管内科      同   上      同   上国立循環器病研究センター研究所病態代謝部スタチンならびにproprotein convertase subtilisin/kexin 9(PCSK9)阻害剤の有効性が報告されており、臨床使用されてきた1〜9)。スタチンは、肝細胞内のHMG-CoA酵素を阻害し脂質合成を低下させることによりLDL-C値を約20-30%低下させる。スタチンを用いたLDL-C低下療法は、心血管イベントも減少させることが確認され、臨床上重要な薬剤である。また、PCSK9阻害剤は、LDL-C値を約60-70%低下させる作用を有し、スタチンではLDL-Cの十分な低下が困難な症例において有用と考えられている。しかしながら、LDL-C値の低下率は個々の症例において異なり、特に、薬剤使用下でもLDL-C値が十分に低下しない症例が存在する(=低反応症例)。研究責任者は、スタチン投与症例141血液中Proprotein Convertase Subxilisin/Kexin Type 9(PCSK9)サブタイプ濃度が脂質低下薬剤の反応性・心血管イベントリスクに及ぼす影響の検証研究

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