*1 KAMATA KEN *2 KITANO MASAYUKI *3 TAKENAKA MAMORU *4 IMAI HAJIME *5 CHIBA YASUTAKA *6 YAMASHITA YUKITAKA *7 NISHI KATSUHISA *8 KATO TAKAO *9 KUDO MASATOSHI 鎌田 研*1 北野 雅之*2 竹中 完*3 今井 元*4 千葉 康敬*5山下 幸孝*6 西 勝久*7 加藤 隆夫*8 工藤 正俊*9はじめに要 旨Key words:膵癌、低用量、化学療法、高齢者、ナブパクリタキセル、ゲムシタビンin elderly patients with metastastic pancreatic cancer: A randomized phase Ⅱ trial 膵癌は代表的な難治性の癌で、5年生存割合は約5%と推測されている1,2)。また、本邦における2014年の膵癌による死亡者数は約30,672人であり、癌死の第4位である2)。組織学的には、外分泌腫瘍と内分泌腫瘍とに分けられ、さらに外分泌腫瘍は嚢胞腫瘍、膵管内腫瘍、異型過形成および上皮内癌、浸潤性膵管癌、腺房細胞腫瘍に細分される。組織学分類がなされた膵癌の約90%は浸潤性膵管癌であり、その中で最も頻度の高い組織型は管状腺癌 膵癌は代表的な難治性の癌で、5年生存割合は極めて低く、十分な治療効果を有する治療法がないのが現状である。本試験は低用量ゲムシタビン(GEM)+ナブパクリタキセル(nab-PTX)の有効性を検討するものである。 低用量GEM + nab-PTX併用療法は、若年者よりも選択肢の少ない高齢者に対してよりニーズが高いと考えられ、 本試験では65歳以上の高齢者を対象に設定した。本試験は標準用量と低用量GEM + nab-PTX併用療法を比較 するランダム化第Ⅱ相試験であり、主要評価項目は奏効割合とした。2016年8月から2018年7月の間に目標症例60例のうち計26例の患者が登録され(低用量GEM + nab-PTX療法群13例、標準用量GEM + nab-PTX療法群13例)、両群ともに13例のうち3例以上の奏効例が認められた。有効性の欠如を被る可能性を鑑み設けた早期中止基準はクリアし、現在試験は第2段階に進み継続中である。近畿大学医学部 消化器内科和歌山医科大学 内科学第2講座近畿大学医学部 消化器内科岡波総合病院 内科近畿大学病院 臨床研究センター日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科兵庫県立淡路医療センター 消化器内科 同 上近畿大学医学部 消化器内科である。膵癌患者は、自覚症状として黄疸、腹痛・背部痛、食欲不振、消化管出血、体重減少などがあるものの、膵癌に特異的な症状ではないため、画像診断技術が進歩した現在でも、早期診断は困難である。膵癌患者の生存割合が不良な原因は、多くの患者で腹痛、黄疸、糖尿病の増悪などが契機となり膵癌が切除不能な進行癌の状態で診断され、また治癒切除が行われた患者においても術後早期に再発することが多いためと考えられている。従って、膵癌患者の生存期間を延長するには、放射線療法や化学療法などの非手術療法の発展が必須であるが、39遠隔転移を有する高齢者膵癌に対する標準用量と低用量ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法のランダム化第Ⅱ相試験Low-dose gemcitabine plus nab-paclitaxel versus standard-dose gemcitabine plus nab-paclitaxel
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