臨床薬理の進歩 No.41
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表1 患者背景データは、平均値±標準偏差、または中央値(四分位範囲)、%で示した。タダラフィル治療群(n=44)34(21-44)158(147-170)56(45-91)3(7%)21(47%)29(25-32)6(13%)1(22%)5(11%)887 (444-1349)2.1(0.3-2.2)2(5%)12(27%)120(88-151)73(46-100)0.48(0.31-0.9)17(9-49)11(4-71)3.2(2.2-4)24(9-35)従来型治療群(n=43)34(20-43)156(144-168)56(44-75)2(5%)26(60%)28(25-31)3(7%)3(7%)0(0%)809(504-1348)−2.2(−2.9 to −2.0)2.2(0.2-2.3)3(7%)15(35%)114(90-185)71(49-110)0.47(0.34-0.74)16(10-31)12(5-49)3.3(2.1-4.0)24(9-37)シルデナフィル投与は妊娠延長効果がなく、周産期転帰の改善を認めなかったと報告された16)。本研究は同じPDE5阻害薬であるタダラフィルを用いていたため、日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development)より、本試験においても安全性の解析が必要と判断された。本試験では中間解析を設定していなかったため、試験を中止し、安全性の評価を行うこととした。2018年3月に試験中止し、その時点で登録されていた89例に対して安全性の評価を中心に解析した。症例は、タダラフィル治療群45例と従来型治療群44例の89例が登録された(図1)。患者背景は表1に示した通りである。割付から治療開始までの期間は中央値1日(0−6日)で、タダラフィル治療群において、36例(82%)が割付1日以内に治療を開始した。タダラフィル治療群では、副作用で中止年齢身長(cm)体重(kg)喫煙経産婦妊娠週数産科合併症超音波所見母体所見収縮期血圧(mmHg)拡張期血圧(mmHg)血清クレアチニン(mg/dL)AST(IU/L)ALT(IU/L)アルブミン(g/dL)血小板(×104/μL)妊娠高血圧症妊娠高血圧腎症 妊娠糖尿病推定体重(g)推定体重SD推定体重パーセンタイル臍帯動脈ドプラ異常子宮動脈ドプラ異常−2.3(−2.8 to −1.9)した1例を除いて、その他全症例が分娩まで治療を継続した。タダラフィル内服期間は平均46.3±26.1日であった。1)安全性の評価 胎児・新生児・乳児死亡についてタダラフィル治療群と従来型治療群とで比較したところ、従来型治療群で7例(胎児死亡4例、新生児死亡1例、乳児死亡2例)であったのに対して、タダラフィル治療群で1例(新生児死亡1例)と有意に減少していた(P=0.03)。死亡に至ったのはすべて早発型の重症FGRで、従来型治療群での新生児死亡は呼吸不全、乳児死亡はそれぞれ敗血症と壊死性腸炎が原因であった。また、タダラフィル治療群での新生児死亡は壊死性腸炎が原因であった。新生児の有害事象については両群間で有意な差を認めず、遷延性肺高血圧症は各群で2例ずつ認めた。母体有害事象54

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