臨床薬理の進歩 No.41
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結  論謝  辞解析が可能であったのは11-15症例と数が限られていることである。本来は100-200症例の解析ができると、より個体差による影響や、サブグループ解析が可能になるが、予算の都合上不可能であった。しかし、例えばプロテオーム解析ではimmune responseは10-20のFDR、NAD代謝異常は10-7のFDRを示し、特定の強い傾向を示していた。予算に限界もあるので、今回特定された経路について、今後ヒト検体で個々の経路の検証を行いながら、モデル動物を用いた実験で時空間的な検証と治療候補薬剤の効果判定に進みたい。 ヒト水疱性角膜症および正常眼のサンプルを用いてプロテオーム解析とトランスクリプトーム解析を行った。その結果、水疱性角膜症では、糖代謝やNAD代謝異常と炎症など、生物学的プロセスが特定された。さらにヒト水疱性角膜症の病態のモデルとなるDBA2Jもみつかった。今後、この経路を動物実験およびヒトサンプルを用いて検証し、真の病態解明に基づく治療につなげていきたい。 本研究を2年にわたり貴重なご支援を頂いた公益財団法人臨床薬理研究振興財団に深謝申し上げます。また、マウスの眼圧計をお貸し頂いた京都府立医科大学上野盛夫先生、マウスの角膜移植をご指導頂いた京都府立医科大学山田潤先生に深謝申し上げます。78

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