臨床薬理の進歩 No.41
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ytilibaiv llec evitaeRemuov romut evitaeR0l01ll159図5  ヒト前立腺がん細胞株DU145に対するDER35の投与効果120100**80604020DER35結  果***10(µM)図6  皮下腫瘍モデル(DU145)を用いたin vivoにおけるDER35の抗腫瘍効果109876543210考  察DaysContDER35:12.5 mg/kg/day1317***1. CMAP解析により、約70種類の既存薬を含めた小分子化合物を同定した(図4)。これらの化合物は、理論的に、再発・転移遺伝子発現プロファイルを限局がん・初発の遺伝子プロファイルへとリプログラミングし得る候補薬剤として同定された(図4)。2. 1で同定された薬剤のうち、臨床で既に使用されている薬剤を中心にリストアップし、in vitroで投与した。高転移能を有するヒトCRPC細胞であるDU145に対してDER35が濃度依存性に、細胞増殖を有意に抑制した(図5)。3. オス去勢ヌードマウスにDU145を皮下に接種し、皮下腫瘍モデルを作製し、DER35を経口投与して薬剤感受性をin vivoで検討した。6週齢のオスBALB/cヌードマウスを去勢し、5×106のDU145を側腹部皮下へ注入した。皮下腫瘍が150-200 mm3へ増大したところでマウスを2群に分け、Control群(n=10)、およびDER35 12.5 mg/kg/day投与群(17日間連続経口投与、n=10)とした。DER35投与群では、有意に腫瘍の増殖が抑制された(p<0.001)(図6)。**p<0.01, ***p<0.001, t-testn=6, incubation time 48 h***p<0.001, Tukey-Kramer method 日本における前立腺がんの罹患数は急激に伸びており、高齢化や食事の欧米化、PSAといった腫瘍マーカーの導入などによる診断技術の向上に伴い、今後も増加傾向が続くことが予想され、男性悪性腫瘍罹患率1-3位となると推定されている。現在、根治切除が不能な進行性・転移性前立腺がんに対しては、薬剤によって男性ホルモンを去勢域まで下げる内分泌療法が広く行われているが、その奏効期間は限られており、多くの症例において前立腺がんの再燃を認め、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態となり、その生命予後は厳しく、限定的である。 抗がん治療抵抗性がんとがん幹細胞との関係が注目されている。がん幹細胞とは、がん組織中で、正常組織における組織幹細胞のように、組織を再構築する能力を持つ細胞のことで、幹細胞性関連マーカーを発現している。がん幹細胞は、抗がん治療に対し耐性を持っているとされているが、その耐性機構はほとんど解明されていない。がん幹細胞に対し効果を示す薬剤があれば、大変有用と推察されるが、前立腺がんにおけるヒトがん幹細胞性研究において、有用な実験モデルがないこと、また幹細胞関連マーカーの発現解析が不十分なため、84

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