臨床薬理の進歩 No.42
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完全奏効割合結  果表3 有害事象血液学的毒性  白血球減少  好中球減少  貧血  血小板減少非血液学的毒性  肝機能障害  腎機能障害  便秘  食思不振  吃逆  傾眠数値は患者数(%)で示した。GradeはCTCAE version 4.0。遅発期90.9 (76.4-96.9)84.8 (69.1-93.3)n = 33Grade 1-4Grade 3-415 (45.5)16 (48.5)23 (69.7)15 (45.5)9 (27.3)12 (36.4)1 (3.0)5 (15.2)14 (42.4)3 (9.1)16 (48.5)18 (54.5)5 (15.2)16 (48.5)1 (3.0)0 (0)0 (0)0 (0)0 (0)0 (0)全期間90.9 (76.4-96.9)81.8 (65.6-91.4)患者背景 2017年4月から2018年6月までに33例の患者が参加した(表1)。年齢中央値は75歳(範囲、60-85歳)、男性が29例(87.9%)であった。非小細胞肺癌は24例(72.7%)、小細胞肺癌が9例(27.3%)であり、病期はⅢ期7例(21.2%)、Ⅳ期22例(66.7%)、術後再発4例(12.1%)であった。殺細胞性抗癌剤としてペメトレキセド、パクリタキセル、エトポシドが12例(36.4%)、10例(30.3%)、8例(24.2%)に投与された。ベバシズマブは4例(12.1%)に追加投与された。2例(6.1%)で無症候性の脳転移を認めた。有効性 主要評価項目である全期間の完全奏効割合は93.3%(95%信頼区間(CI)、80.4-98.3%)であった(図1)。急性期および遅発期の完全奏効割合はそれ図1 完全奏効割合完全奏効割合:嘔吐なし、追加の制吐療法なしの割合急性期:抗癌剤投与開始から24時間遅発期:抗癌剤投与後24〜120時間全期間:抗癌剤投与開始から120時間表2 各期間の完全制御割合と総制御割合数値はパーセント(95%信頼区間)で示した。急性期:抗癌剤投与開始から24時間、遅発期:抗癌剤投与後24〜120時間、全期間:抗癌剤投与開始から120時間完全制御割合:嘔吐なし、追加の制吐療法なし、および悪心なしまたは軽度の割合総制御割合:嘔吐なし、追加の制吐療法なし、および悪心なしの割合ぞれ100%(95%CI、89.6-100%)、93.9%(95%CI、80.4-98.3%)であった。完全制御割合および総制御割合を表2に示す。悪心の発現頻度は急性期3.0%、遅発期15.2%、全期間18.2%と低かった。一方で食思不振のコントロールは不十分であった。カルボプラチン投与後24時間毎のCINV発現頻度を検討すると、カルボプラチン投与後day4が最多であり、悪心9.1%、嘔吐6.1%、食思不振42.4%であった。安全性 主な有害事象を表3に示す。最も発現頻度が高かった血液学的毒性は貧血であった(69.7%)。Grade 3または4に達した毒性は白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症であり、カルボプラチンを含む抗癌剤使用に関連していると考えられた。非血液学的毒性では食思不振(54.5%)と便秘(48.5%)が多かった。傾眠は48.5%に認められたが、その全てがGrade 1であった。肝機能障害は42.4%に出現し、Grade 3は3.0%で認められた。治療(%)10010080604020急性期遅発期期間期間完全制御率総制御率093.993.3全期間急性期100 (89.6-100)97.0 (84.7-99.5)88

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