考 察果を示された(図5B)。以上より、EGFR変異陽性肺がん細胞のEGFR阻害薬に対する治療抵抗性の克服にはAXL阻害薬によるAXLシグナル制御が有効であることが示唆された。EGFR変異陽性肺がん腫瘍の異種移植マウスモデルを用いたAXL阻害薬の至適介入時期の検討 EGFR変異陽性肺がん腫瘍の異種移植モデルを用いてEGFR阻害薬とAXL阻害薬の併用による抗腫瘍効果について検討した。EGFR変異陽性肺がん細胞PC-9およびPC-9KGR(EGFR-T790M耐性変異陽性)を用いた検討では、初期からのAXL阻害薬(ONO-7475 10 mg/kg/day、連日経口投与)とEGFR阻害薬オシメルチニブ(5 mg/kg/day、連日経口投与)の併用治療は、オシメルチニブ単剤治療に比べ有意な抗腫瘍効果を示した。さらにPC-9細胞の皮下腫瘍移植モデルの検討では、AXL阻害薬との併用治療を、1)初期から、または2)オシメルチニブ獲得耐性後に行い、AXL阻害薬の至適介入時期に関して検討した。オシメルチニブ治療に対して耐性を獲得した投与開始後day29の時点からAXL阻害薬の併用を開始したところ、オシメルチニブ単剤治療と比較し、抗腫瘍効果の上乗せはきわめて限定的であった(図6)。治療による図7 EGFR変異陽性肺がん症例における腫瘍内AXL発現の検討(A)AXL発現の割合。(N=92) (B)AXL発現量とオシメルチニブ奏効割合。Unpaired Student’s t test9811%26%32%31%35%65%AXL high (2+, 3+)N=53=0.07p16%84%AXL low (0, 1+)N=39毒性の評価のため、マウス体重および表現型の変化を経時的に観察したが、併用治療による有意な差は認めなかった(Data not shown)。以上より、マウス皮下移植モデルを用いた検討で本併用治療の認容性が確認された。EGFR変異陽性肺がん患者を対象とした腫瘍内AXL発現量とオシメルチニブ治療効果の検討 進行・再発EGFR変異陽性肺がん患者92例における治療導入前の腫瘍内AXL発現量を評価した。26%でAXL強発現(IHC3+)、32%でAXL中等度発現(IHC2+)を認め、EGFR変異陽性肺がん症例の58%で腫瘍内AXL高発現を認めた。AXL高発現群と低発現群における患者背景(年齢、性別、喫煙歴、組織型、EGFR遺伝子変異別)の検討では、いずれの因子においても両群間で有意差は認めなかった(Data not shown)。AXL高発現群(IHC3+,2+)では、AXL低・未発現群(IHC1+,0)と比較し、オシメルチニブ治療による奏効率が低い傾向がみられた(p=0.07)(図7)。 EGFR活性型遺伝子変異を有する肺がん(EGFRAXL 0AXL 2+AXL 1+AXL 3+オシメルチニブ奏効率(A)(B)
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