考 察表6 上清中およびエクソソーム抽出液中α-Syn濃度上清中試料番号α-Syn濃度(pg/mL)Control 1Control 2Control 3DLB 1DLB 2DLB 3AD 1AD 297.00.07.91685.71964.11994.9315.2866.7DLB; Dementia with Lewy Bodies, AD; Alzheimer Disease.エクソソーム抽出液中α-Syn濃度(pg/mL)18.211.444.971.4621.565.566.726.9 本研究においてははじめに、血漿中DPZ濃度の測定方法の確立を行った。表2、3に示すように、相関係数0.99以上の良好な直線性が得られ、日内・日間変動のいずれにおいても10%以内であったことから、血漿中DPZ濃度の測定方法を確立することができたと考えられる。 次に、DPZ継続服用患者の血漿中DPZ濃度を測定した。その結果、血漿中DPZ濃度は中央値51.3(25.0, 72.6)ng/mLであった(表4)。AD患者におけるDPZの有効治療濃度域は30〜75 ng/mLという報告がある13)。しかし、DLB患者におけるDPZの有効治療濃度域に関する報告はない。本研究対象患者のなかには、AD患者におけるDPZの有効治療濃度域と比較すると範囲を下回る患者が1名、上回る患者が3名いた。しかし、いずれの患者においてもDPZの服用を中止しなければならない有害事象の発生はなく、服用を継続していた。その一方で、1日1回、1回5 mgのDPZを服用していたものの、精神症状の出現により3 mgへ減量した患者においては血漿中DPZ濃度が検出限界以下であった。この患者のCYP2D6の表現型はEMであった。DPZはCYP2D6で代謝される2)ことから、高い代謝活性を有することにより、血漿中DPZ濃度が低くなった可能性が示唆された。また、血漿中DPZ濃度とCYP2D6代謝活性の相関性については、CYP2D6代謝活性の減少に伴い、血漿中DPZ濃度図2 エクソソーム抽出の確認ウエスタンブロット法によりCD81を検出した。番号はそれぞれ1: 非認知症高齢者上清、2: DLB患者上清、3: 非認知症高齢者エクソソーム抽出残渣液、4: DLB患者エクソソーム抽出残渣液、5: 非認知症高齢者エクソソーム抽出液、6: DLB患者エクソソーム抽出液を表している。の増加傾向が認められた(図1)。本研究においては症例数が少ないため、統計解析による有意差を検出するに至らなかったが、DLB患者を含む認知症患者において、血漿中DPZ濃度とCYP2D6代謝活性に関連性がある傾向が得られた。このことから、DLB患者におけるDPZの治療効果および有害事象発現における個人差2)には、CYP2D6の遺伝子型が関与している可能性が示唆された。 血漿からのエクソソーム抽出については、ウエスタンブロットの結果、上清およびエクソソーム抽出残渣液ではCD81のバンドが認められず、エクソソーム抽出液においてのみバンドが検出された(図2)。この結果から、血漿からのエクソソーム抽出方法を確立できたと考えられる。この方法で得た上清とエクソソーム抽出液を試料としてα-Syn濃度を測定した結果、エクソソーム抽出液より上清で高い傾向が認められた(表6)。α-Synは114CD81 (26 kDa) 1234 56
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