臨床薬理の進歩 No.42
150/228

12341234表1 患者背景および有害反応症例性別・表2 各症例の体内動態パラメータオシメルチニブ投与全期間(初回投与から定常状態)での測定ポイントにおける血清中濃度より解析。体重(kg)クレアチニンクリアランス(mL/min)年齢(歳)女・6937.649.2男・7169.660.1女・7549.459.2男・7355.874.2症例平均 ± 標準偏差結  果診断NSCLCT2aN01b StageⅣ ANSCLCT2aN3M1b StageⅣ ANSCLCT3N1M1b StageⅣ ANSCLCT2aN2M1b StageⅣ Aka(/h)1.10.60.30.40.6 ± 0.4EGFR遺伝子変異オシメルチニブ投与量(mg)exon 21 L858Rexon 19 deletionexon 20 insertionexon 19 deletion80、40アファチニブ80アファチニブ、エルロチニブ8080、40Vd/F(L)838.72003.32360.3897.61525.0 ± 772.7EGFR-TKI治療歴Grade2有害反応Grade3有害反応なしALT増加、下痢、体重減少AST増加なしなしなしなしなしなしなしCL/F(L/h)13.913.623.715.116.6 ± 4.8Japan)を用いて、リアルタイムPCRにより遺伝子多型を決定した。統計解析 遺伝子多型と体重当たりの投与量で補正したオシメルチニブ未変化体および代謝物の血清中濃度の比較には、Mann-Whitney U Test(SPSS version 26、IBM、Japan)を用いて2群間の比較を行った。有意水準は5%とした。患者背景および有害反応 本研究で同意が得られた非小細胞肺がんの患者は4人であり、各症例での患者背景およびGrade 2、3以上の有害反応を表1に示した。男性2人、女性2人であり、平均の年齢は72歳、体重は53.1 kg、クレアチニンクリアランスは60.7 mL/minであった。また、有害反応の発現(Grade 2以上)については、症例1でGrade 3のALT増加およびAST増加、症例2でGrade 2の下痢および体重減少が起こった。症例1、4において、有害反応の発現によりオシメルチニブ投与量は80 mgから40 mgに減量されていた。オシメルチニブ未変化体および代謝物AZ5104、AZ7550の血清中濃度測定 オシメルチニブ未変化体および代謝物(AZ5104、AZ7550)の血清中濃度同時測定法は、オシメルチニブ未変化体および代謝物(AZ5104、AZ7550)の各薬剤で良好な直線性(R2≧0.996)および回収率(97.5-115.8%)が得られ、検量線範囲はオシメルチニブが16-600 ng/mL、AZ5104が2.5-62.5 ng/mL、AZ7550が2.5-62.5 ng/mLとなり、バリデーション試験によりFDAの基準を満たした結果が得られた。オシメルチニブ未変化体および代謝物AZ5104、AZ7550の血清中濃度およびオシメルチニブの薬物動態パラメータ 4症例で65ポイントの濃度測定を実施し、オシメルチニブ未変化体、代謝物AZ5104およびAZ7550の平均血清中濃度はそれぞれ185.8 ± 104.4、15.4 ± 8.1および12.4 ± 6.1 ng/mLであった。各症例のオシメルチニブの体内動態解析による体内動態パラメータを表2に示した。各症例の平均のkaは0.6 ± 0.4 /h、Vd/Fは1525.0 ± 772.7 L、CL/Fは16.6 ± 4.8 L/hであった。136

元のページ  ../index.html#150

このブックを見る