*1 FUKUDO MASAHIDE 旭川医科大学病院 薬剤部(現:札幌医科大学附属病院 薬剤部)*2 SASAKI TAKAAKI *3 OHSAKI YOSHINOBU 同 上福土 将秀*1 佐々木 高明*2 大崎 能伸*3はじめに要 旨 抗PD-1抗体薬のニボルマブとペムブロリズマブや抗CTLA-4抗体薬のイピリムマブは、免疫チェックポイント阻害薬として様々ながん種に対して広く用いられてきている1)。しかし、抗腫瘍効果には個人差が認められること、また多種多様な免疫関連有害事象(irAE: immune-related adverse event)が発現するリスクがあることより、効果予測バイオマーカーの同定を含めた最適使用法の確立が必要とされている。 ニボルマブの用法・用量に関して、2016年9月に米国FDAが、体重換算の1回3 mg/kgから1回240 mgの固定用量に変更することを承認し、我が国目的 実臨床におけるPD-1阻害薬ニボルマブとペムブロリズマブの薬物動態(PK)と薬効(PD)および抗薬物 抗体(ADA: anti-drug antibody)の関連を評価することを目的とした。方法 ニボルマブ(98名)またはペムブロリズマブ(49名)が投与されたがん患者を対象とした。薬物血中 濃度は間接ELISAによって定量し、酸解離ブリッジングELISAを用いてADAの発現を評価した。治療開始当日 および治療期間中と治療終了後の血液検体を可能な限り長期に取得した。結果・考察 両薬物のトラフ濃度には、大きな個人差が認められた。また、治療終了後1年近く体内に薬物が残存することが確認された。さらに、治療開始後早期のレスポンスは、トラフ濃度と有意に相関することが明らかと なった。一方、ADAが持続的に陽性であった症例では、他の患者と比べて予後不良であることが判明した。 以上より、PD-1阻害薬のPKおよびADAのモニタリングは、最適使用を推進する上で有用な情報を提供し得る 可能性が示唆された。旭川医科大学病院 呼吸器センターにおいても2018年8月に同じ固定用量に変更された。その根拠として、母集団薬物動態モデルによるシミュレーション結果と用量/曝露量–レスポンスの関係が比較的フラットであるというデータが用いられた2)。しかし、ニボルマブの薬物動態(PK)には個人差があり、非小細胞肺がんに対する腫瘍縮小効果と薬物曝露量が相関することが報告されている3)。また、悪性黒色腫患者において、定常状態のイピリムマブのトラフ濃度が高い程、グレード2以上およびグレード3以上のirAEの発現割合が上昇することも示されている(CTDサマリー)。以上の背景を踏まえて、免疫チェックポイント阻害薬の曝露量とレスポンスの関係については、薬物毎の明確な治療濃度域が定まっていない状況であり、Key words:ニボルマブ、ペムブロリズマブ、PK/PD、抗薬物抗体、最適使用anti-drug antibody of PD-1 blockers141PD-1阻害薬のPK/PD-ADAの母集団解析Evaluation of pharmacokinetics/pharmacodynamics and
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