された。ADA陽性確定サンプルに関して、本報告時点では抗体価の測定や効果減弱の原因となる中和抗体の評価が、十分に実施出来ていなかった。今後、さらに症例を積み重ねて、免疫原性とPK/PDの関連について詳細な解析を行う予定である。 我々は、ニボルマブ治療を終了してから8.6か月後に、二次性の副腎機能不全を発現した症例を経験した7)。実際に、循環血中にニボルマブが検出されたことから、体内に長期間残存したニボルマブが遅発性irAEの発現に寄与していた可能性が示唆された。本症例において、副腎不全を発現する前に特徴的な好酸球増加が認められていた(図6)。過去の同様の報告を踏まえて8,9)、検査所見として好酸球の増多に注意することが必要である。さらに、図6 ニボルマブ治療終了後、遅発性の二次性副腎機能不全を発現した症例ACTH, adrenocorticotropic hormone; CR, complete response; PD, progressivedisease; PR, partial response; PS, performance status.(文献7より引用)PD-1阻害薬を用いた治療終了後、数か月から2年近く経過してからirAEが発現する症例が報告されているため(表3)、遅発性irAEに対する継続的なモニタリングが重要である。 近年、進行腎細胞がんに対する一次治療としてのペムブロリズマブとアキシチニブの併用療法の有用性が証明され、臨床において広く用いられてきている10)。最近我々は、アキシチニブ単剤使用時の治療濃度域(ピーク濃度:12.4〜40.2 ng/mL)を同定した11)。ペムブロリズマブとの併用時におけるアキシチニブ治療濃度域の妥当性やペムブロリズマブのPKプロファイルの変動についても、今後検証していく必要がある。147
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