YOSHIDA KAZUNARI吉田 和生はじめにトロントでの生活について(2017年4月〜2021年12月(予定)) 私は、2017年 4月よりトロント大学 University of Torontoの付属病院および研究施設である嗜癖・精神保健センター Centre for Addiction and Mental Health(CAMH)での貴重な留学の機会をいただきました。今回は、カナダ(トロント)での生活および研究について紹介させていただきます。 まずはじめにカナダとトロントについて簡単に紹介させていただきます。カナダは世界第2位の国土を有し、10の州と3の準州からなる人口約3,650万人(2017年)の国です。公用語は英語と仏語で、仏語は主にカナダ東部に位置するケベック州で話されています。トロントはカナダの中で最大の都市で(人口約280万人)、北米で4番目に人口が多い都市でもあります。トロントは移民の占める割合が非常に高い都市で(人口の約半分が移民)、多民族・多文化という特徴があります。私のトロントでの自宅はリトルイタリーと呼ばれるイタリアンタウンが近くに位置しておりました。他にも、グリーク、アラビアン、ブラジリアン、コリアン、チャイナPROFILE2007年 2007年 徳島大学医学部卒業 独立行政法人国立病院機構東京医療センター (初期研修) 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室入局2009年 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室2013年 2017年 慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程 Postdoctoral research fellow: Centre for Addiction and Mental Health Clinical fellow: Centre for Addiction and Mental Health2020年 タウンをはじめとする数多くのエスニックタウンがあり、多種多様な国の雰囲気を身近に味わうことができ、国ごとの郷土料理を満喫できたりもします。このような多民族・多文化の都市ですので、住む人々も移民の母国文化や言語に対して寛容です。銃も規制されており、また、犯罪発生率も低いようです。さらに、医療費については日本と同様、国民皆保険制度(オンタリオ州では、オンタリオ州健康保険(Ontario Health Insurance Plan:OHIP)と呼ばれる)であり、処方薬と歯科治療以外は公費でカバーされます(出産もカバーされるようです)。公共機関や自動車で様々な観光名所(ナイアガラの滝など)に出向くことができます(写真1–3)。運転免許証に関しては、日本の運転免許証を2年以上所持していれば、筆記と実技試験が免除され、視力検査のみクリアすれば、すぐに免許の取得が可能です(実際に自動車を運転する際には、ストリートカー優先、右側通行などの若干のルールの違いを把握しておくことは大切です)。また、トロントはスポーツも盛んで、メジャーリーグのトロント・ブルージェイズ、バスケットのトロント・ラプターズ、フットボールクラブのトロントFCなどが有名ですが、やはりアイスホッケーのトロント・メープルリーフスが最も人気があり、シーズンはスタジアムが常に熱狂の渦に包まれています。175Centre for Addiction and Mental Health (CAMH)留学記
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