臨床薬理の進歩 No.42
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ControlCHRNB2 monoclonal Ab (Clone-3)表1 抗CHRNB2モノクローナル抗体の胃癌細胞株増殖抑制効果の一覧図10 マウス腹膜播種モデルに対する抗CHRNB2モノクローナル抗体腹腔内投与各n=5。コントロール群に比して、抗CHRNB2モノクローナル抗体投与群では腹膜播種形成が阻害されていた。分化度DifferentiatedDifferentiatedDifferentiatedDifferentiatedPoorly differentiatedPoorly differentiatedPoorly differentiatedPoorly differentiated考  察CHRNB2発現度HighLowIntermediateHighLowIntermediateHighIntermediate細胞増殖阻害効果ExcellentModerateWeakGoodExcellentModerateModerateWeak 転移性胃癌を制御しうる治療法は確立されておらず、依然として予後不良である。個別化医療をさらに推進し実現するためには、既存の分子標的薬とは全く異なる機序をもつ治療法開発が必要である。本研究では、臨床検体を用いた網羅的遺伝子発現解析から見出したCHRNB2の胃癌細胞機能における役割を明らかにするとともに、これを阻害する特異的抗体の開発を進めた。細胞株名MKN1IM95N87MKN7MKN45GCIYNUGC3NUGC4 本研究の独自性として、以下が挙げられる。CHRNB2は、治療抵抗性を示した胃癌の臨床検体から見出したシーズである。既存の治療法では制御できなかった状況を克服するための鍵となりうる分子であると考えている。悪性腫瘍とCHRNB2を関係づける報告はこれまでに皆無であり、新規性の高い標的分子である。すなわち、既存の増殖因子レセプターを中心とする分子標的とは異なり、新しいカテゴリーの治療薬となる可能性を秘めている。 ゲノム編集技術を用いた安定的CHRNB2ノック26

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