臨床薬理の進歩 No.42
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謝  辞おいてもFISHにてこれが解析され得ることは1つの利点である。 分子生物学的な機序において、我々はKDM5D欠失が active transcriptional markであるプロモーター領域のH3K4me3シグナルをエンリッチさせることにより、最終的にはDNA複製ストレスが惹起されることを発見した。DNA複製ストレスが細胞悪性度と相関し、またゲノム不安定性に関与していることは論を俟たない6)。さらに、近年提唱されているCell-Cycle Progression(CCP)scoreで使用される31遺伝子のうち、かなりの遺伝子がKDM5D欠失によりup regulateされている点は強調しておきたい。特に、G2/Mチェックポイント調節因子であるCDK1とCDC25CのoverexpressionがKDM5D欠失により誘導されることにより、本来ATRパスウェイ活性化によりアレストとなるべきG2/Mチェックポイントでの停止が効かなくなる点も本研究で初めて明らかとなった。Toledoらは、DNA複製フォークの停止を崩壊させる手段としてATR inhibitorを提唱し、dNTPを枯渇させることにより複製フォーク停滞を引き起こすhydroxyureaとの併用によりDNA二重鎖切断による腫瘍合成致死を報告している7)。本研究では、KDM5D欠失をもつ前立腺がん細胞で発生しているDNA複製ストレスに対応するために依存しているATRパスウェイを特異的に阻害することで、腫瘍増殖抑制効果を単剤でも認めることを初めて見出した。これは、KDM5D 欠失の検出によりATR inhibitorの治療効果を予測できる可能性を示唆しており、近年普及の進むがんゲノム医療の実現への一助となる可能性を秘めていると考えている。 本研究の施行にあたり、臨床薬理研究振興財団の研究助成を利用させていただいたことに深謝いたします。また、大阪医科大学研究支援センタートランスレーショナルリサーチ部門のスタッフの方々に大変なご尽力をいただきました。ここに謝意を表します。43

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