度頻ルレア異変0.30.20.10.0患者1患者2患者3患者4患者5謝 辞Tgマウスがつくられた。G17VRHOA変異体発現のみでは、腫瘍発症には至っていない。Tet2欠失に加えてG17VRHOAを発現する場合に、AITL様の腫瘍を発症した。 我々のモデルでは、長い潜伏期間を得てAITL様のリンパ腫を発症し、ダサチニブ治療による生存延長を認めた。ダサチニブのリン酸化には、LYNとFYNというTCR経路の2つの主要なチロシンキナーゼが関わると報告されている。ダサチニブはこれらを阻害すると考えられ、実際に我々のモデルではダサチニブ投与後の脾臓組織におけるVav1リン酸化の阻害がみられた。 臨床研究においては、ダサチニブが奏効した4例の患者のうち2例はG17VRHOA変異を有し、1例はVAV1変異を示した。これらの3例の患者で奏効がみられた点は、ダサチニブはG17VRHOA変異腫瘍の治療薬として有望であることを裏付ける。ダサチニブが奏効した残りの1例の患者は、RHOA、VAV1、またはTCR経路に関連する変異はみられず、2つのTET2変異がみられた。この患者が、FYN/LCK等のTCR経路に遺伝子変異を持っている可能性は否定できない。この結果からは、G17VRHOAとVAV1変異だけでは、AITLにおけるダサチニブの有効性を必ずしも予測しないことを示唆している。図9 試験に登録した症例のターゲットシーケンス解析本試験に登録された症例の腫瘍細胞を含む組織由来DNAを用いて、ターゲットシーケンス解析により遺伝子変異の有無を調べた。 近年、AITLを含む多くのPTCLに対する新薬が有望な治療法として承認された。ただし、再発/難治性例においてこれらの新薬を単剤で用いる治療法では、全生存期間は十分には改善されない。今後は、TCR経路を対象とする治療開発の有望性を評価していくことが望まれる。 なお、本研究の成果を受けて、橋渡し研究戦略的推進プログラムシーズC事業により、多施設共同「血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)及びその他の濾胞性ヘルパーT細胞リンパ腫に対するダサチニブの多施設第Ⅱ相医師主導治験(代表 千葉 滋)」として採択され、進行中である。 図表は文献7を改変し、引用。利益相反(COI) 医師主導治験に際して、ブリストルマイヤーズ社からダサチニブの無償提供を受けている。 本研究にあたっては、臨床薬理研究振興財団からの助成をいただいたことに感謝申し上げます。また、マウスモデルの作製と解析には、本研究室のTran Nguyen博士、藤澤 学 博士の協力に感謝申し上げます。TET2G17VRHOAVAV1PLCG1OtherG17VRHOA mutation (ddPCRで同定)(ターゲットシーケンス変異解析で同定)52
元のページ ../index.html#66