表1 被験者の臨床背景データは平均値[標準偏差]で示した。連続変数はWelch’s t-testまたはMann–Whitney U test、カテゴリ−変数はχ2 testを用いた。*p < 0.01審査委員会の承認を得て(承認番号20138012)、大学病院医療情報ネットワークに臨床試験登録(UMIN000013215)し、ヘルシンキ宣言に則り実施された。全ての被験者から書面によるインフォームドコンセント・アセントを取得し、参加同意を得た。対象 福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部を受診し、DSM-5に基づきRADと診断された男児29名(平均年齢13.3歳)および年齢・性別をマッチさせて地域から募集したTD男児28名(平均年齢13.0歳)を対象とし、参加基準は知能指数IQが80以上(WISC知能検査で評定)、除外基準はMRIの禁忌者とした。RAD児は幼少期の被虐待歴(身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待)を有していた(表 1)。薬理学的介入 OT(Syntocinon、Novartis、24 単位)またはプラセボ(生理食塩水)を、二重盲検でランダム化しクロスオーバーで、医師の付添いのもと推奨投与手順に従って単回点鼻投与し、投与45分後から金銭報酬課題MRI検査を行った。クロスオーバーの2回目の投与およびMRI検査は、約39日間隔で実施した。RAD群3名は2回目の点鼻を希望しなかったTD群n = 2713.0[1.6]27(100) 25/2 −−−−年齢(歳)男性, n(%)利き手(右/左)虐待の種類, n(%) 身体的虐待 心理的虐待 ネグレクト 性的虐待IQ(知能指数)SDQ総合的困難さ 内在化問題 外在化問題107.7[9.3]5.4[4.2]1.9[1.9]3.4[2.8]ため、最終解析から除外した。臨床症状評価 子どもの強さと困難さ質問票(Strength and Difficulties Questionnaire:SDQ)10)を養育者に実施し、子どもの情動・行動症状の重症度および内在化(感情および仲間問題)・外在化(行為および多動性問題)行動の困難性を評価した。fMRI実験 約24分間(6分×4セッション)のブロックデザインによる報酬課題と無報酬課題時に、ボタン押しによってカードを選び、できるだけ多くの金銭を得る金銭報酬課題(ギャンブリング課題)を刺激とした。この課題を用いた過去の我々のfMRI研究6)では、金銭報酬条件(高報酬(HMR)>無報酬(NMR)コントラスト)でRAD群がTD群より腹側線条体の脳活動が有意に低下することが示されたことから、同じコントラストを本研究に適用した。また、OT点鼻投与が動機づけ(金銭獲得意欲)を変化させうるかを検討するために、被験者に対してMRI撮影直後に視覚的アナログスケール(0:全くない~100:最もある)の記載を求めた。脳画像データの取得と解析 GE社製3テスラMRI機器で撮像した。撮像条件はTR = 3,000 ms、TE = 25 ms、FA = 90°、FOV = 192 mm、Slice thickness: 3 mmとした。TD群1名とRAD群2名は、過剰な体動によるMRI画像の質の問題から解析対象から除外し、最終的なfMRI解析人数はTD群27名、RAD群24名とした。統計解析は、OTとプラセボ投与時における金銭報酬条件に反応する脳領域を同定し、TD群とRAD群の脳活動を比較した。有害反応の確認 OT投与直前および投与25分後にバイタルサイン(血圧・脈拍数・酸素飽和度)・自他覚症状を評価した。RAD群n = 2413.3[1.9]24(100)21/3 16(67)22(92)17(71)4(17)93.7[9.5]*14.3[7.3]*6.0[3.7]*8.3[4.5]*56
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