方 法 そこで本研究の目的は、日本人の慢性腰痛患者においてOLPが過去の海外の報告3)と同様に有効であるかどうかを確認し、患者が報告した機能障害のアウトカムを用いて、OLPの短期(3週)および中期(12週)効果を検討することとした。研究デザイン 本試験に先立ち無作為化比較試験デザインを確立した。先行研究の知見3)に基づき、慢性腰痛患者においてOLP+TAUはTAUよりも優れていると仮定し、その効果量は0.74とした。この仮定に基づき、検出力80%、有意水準<0.05における症例数は、48例(各群24例)と算出された。最終的に、10%の脱落率を考慮して52例(各群26例)を募集した。本試験は、2018年7月17日にUMIN Clinical Trials Registry(UMIN000033412)に登録され、愛知医科大学の倫理委員会の承認[2018-H173]を得て実施された。試験参加者全員に、試験内容のインフォームドコンセントが行われ、書面による同意が行われた。患者選択 2018年8月から2020年3月までに当院の整形外科外来の受診患者を対象とした。患者と医師の関係に起因するバイアスを避けるため、すべての候補者は研究責任医師(T.I)への新規受診患者とした。 選択基準は、20歳以上の慢性腰痛患者(痛みの持続期間が6か月以上)かつ主観的痛み尺度(Numerical Rating Scale:NRS)で3以上の痛みを腰領域に有するものとした。但し、ここでいう腰領域とは、触知しうる肋骨下縁から臀部下縁(臀溝)の間の領域と定義した。また除外基準は以下の通りとした。(1)参加希望がない(2)下腿までの放射性の痛みがある(3) 悪性腫瘍、脊椎骨折、脊椎感染症の治療を継続している(4)自己免疫性炎症性疾患(5)脊椎関節症(6) 75歳以上で腰椎2重X線骨塩定量検査においてTスコアが2.5未満(7)脆弱性脊椎骨折の既往歴(8) 3か月以上のステロイドの使用歴または現在の使用歴(9) 顕著な脊椎後彎症または脊柱側弯症(Cobb角30°以上)(10) 過去3か月以内に行われた胸椎手術または腰椎手術(11)認知症または認知障害が疑われる症例(12)研究者が不適格と判断した症例選択基準に該当する70例の慢性腰痛患者がスクリーニングされ、52例が登録された。無作為化と介入 本試験は、ランダム化比較試験(RCT)を行う際に推奨されているConsort声明に基づいて計画した。被験者のランダム化は、コンピュータで作成された乱数を用いて、番号入りの不透明な封筒に挿入し、年齢別(50歳未満、50歳以上)に層別化した上で、TAU群またはOLP+TAU群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。治療者の臨床知識・経験が、治療者-患者間の治療効果に影響することが知られているため、試験期間を通して単一の整形外科医(主任研究者)によって実施された。高血圧や糖尿病などの併存疾患の治療に使用されていた薬はすべて変更されなかった。 両群ともに近年の慢性疼痛診療ガイドライン6)の推奨事項に従って、12週の通常治療(TAU)が実施された。TAU治療として、痛みの教育と安心感を与える指導に加えて、活動的な状態(特に運動療法)を維持するための指導が行われた。さらに、近年推奨されている心理教育を用いて、認知介入を行った7)。追加治療が必要とされる場合は、両群ともに新しい鎮痛剤以外の薬物治療を許可した。初回診察時、参加者全員が同じ整形外科医の主任研究者より1時間の診察を受け、その際に本試験の64
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