臨床薬理の進歩 No.42
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表3 FAERS解析結果既存薬A*(1,273 / 23,342)リドカイン(1,274 / 23,330)シンバスタチン(1,267 / 22,967)ペリンドプリル(1,274 / 23,330)LINCS解析で上位50化合物に含まれた既存承認薬のうち、FAERS解析でROR<1を示した予防薬候補。統計解析はFisher's exact testを用いて行った。* : 特許申請中のため匿名化FAERS; FDA Adverse Event Reporting System, ROR; reporting odds ratio, CI: confidence interval.表4 スタチン系薬剤に関するFAERS解析結果スタチン系薬剤(1,246 / 22,399)統計解析はFisher's exact testを用いて行った。FAERS; FDA Adverse Event Reporting System, ROR; reporting odds ratio, CI: confidence interval.末梢神経障害報告頻度 (報告件数)併用なし5.45%5.46%5.52%5.46%末梢神経障害報告頻度 (報告件数)併用なし5.56%(29 / 990)ROR併用あり(95%CI)4.26%(2 / 47)1.69%(1 / 59)1.90%(8 / 422)0.78(0.19 - 3.22)0.31(0.04 - 2.24)0.34(0.17 - 0.69)1.69%(1 / 59)0.31(0.04 - 2.24)ROR併用あり(95%CI)(0.36 – 0.77)0.532.93%p値1.00.380.000460.38p値0.0014が併用された患者に比べて末梢神経障害の報告が有意に少なかった(表3)。残りの3つの候補薬では有意差は認められなかった。 FAERS解析では、1剤以上のスタチン系薬剤と併用していた患者を対象にRORを算出した。OIPNの報告数は、スタチン系薬剤併用群ではスタチン系薬剤非併用群に比べて有意に少なかった(表4)。2. OIPNモデルラットに対するスタチン系薬剤の効果 OIPNモデルラットを用いた von Frey testでは、0日目の反応閾値は各群で差がなかった。オキサリプラチン群の反応閾値は累積投与量の増加に伴い減少し、投与26日目にはコントロール群よりも有意に低下した。しかし、コントロール群とオキサリプラチン+スタチン系薬剤群の反応閾値は26日間で有意な差は認められなかった。26日目の反応閾値は、オキサリプラチン+スタチン系薬剤群の方が有意に高く、コントロール群と同様であった(図1)。坐骨神経の軸索変性はトルイジンブルー染色による真円度測定で評価した。オキサリプラチン投与マウスでは、軸索の真円度が有意に低下していた。一方で、スタチン系薬剤併用により、オキサリプラチンにより誘発された神経軸索の真円度低下が有意に抑制された(図2)。3. 遺伝子発現に対するスタチン系薬剤の効果 ラットDRGから抽出したRNAを用いてリアルタイムPCRを行った結果、オキサリプラチン投与群では、Gstm1 mRNA発現がコントロール群に比べて有意に減少していた。また、オキサリプラチン+スタチン系薬剤群はすべて、オキサリプラチン群と比較して、Gstm1 mRNA発現の有意な増加を示した(図3)。4. 細胞生存率に対するスタチン系薬剤の効果 オキサリプラチン処置後24時間時点において、PC12細胞の生存率が有意に低下した。シンバスタ77

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