臨床薬理の進歩 No.43
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結  果考  察員会の承認を得て行われた。 Asian Screening Array-24のアレイ及びGenomeStudio Genotyping Moduleソフトウェアを用いた解析において、1サンプルにおいてはCall Rate<0.95となったため、解析対象より除外された。また、Call Frequency≧0.95及びCluster Sep≧0.1の基準を満たすマーカーは659,184個中650,482個であった。これらを対象として、オピオイドの合計投与量対数変換値(y)との関連解析を行った。 Additive model、Dominant model、Recessive modelの各遺伝学的モデルに対して遺伝子多型と表現型との関連性の解析を行ったところ、Additive model、Dominant model、Recessive modelの各遺伝学的モデルの表現型に対して、設定した有意水準に到達したものはなかったが、低p値を示す有力候補多型が複数同定された(表1〜表3)。中でも8番染色体上におけるrs1283671の多型に関しては、GWAS全体の有意水準には到達しなかったが、Additive model及びRecessive modelの両遺伝学的モデルにおける最上位候補となった(Additive model; p = 6.906 × 10-7, Recessive model; p = 1.584 × 10-6)。オピオイドの合計投与量対数変換値(表現型平均値)(y)において、この多型のマイナーアレル保有者群では非保有者群と比較してyの値が高値であった(表1、表3)。 なお、National Center for Biotechnology Information (NCBI)等のデータベース検索により、このrs1283671の多型はangiopoietin 1(ANGPT1)遺伝子のイントロン領域に位置し、またANGPT1は脂肪、肺、前立腺等において高発現を示す遺伝子であることが分かった。なお、全遺伝子多型中最低p値を示す結果は、Dominant modelにおけるrs1283671の多型であったが(p = 6.070 × 10-7)、この多型は遺伝子領域外に位置していた(表2)。 本研究において、がん患者におけるオピオイド投与量の表現型に対して低p値を示す有力候補遺伝子多型が複数同定され(表1〜表3)、中でも、最有力候補多型の一つである可能性が示唆されたrs1283671の多型は、血管発生及び血管新生において重要な役割を果たすアンジオポエチンファミリーに属する分泌糖タンパク質の一種angiopoietin 1をコードするANGPT1遺伝子のイントロン領域に位置していた。ANGPT1タンパク質は抗透過性及び抗炎症性の性質を示す血管新生性増殖因子であり7)、動物モデルにおいては、ANGPT1の遺伝子欠損マウスは血管形成障害を示すことが知られている8)。ヒトにおいては、ANGPT1遺伝子のExon 2における一塩基置換のミスセンス変異を保有する家系において、遺伝性の血管性浮腫を呈することなどが報告されているが9)、ANGPT1とオピオイド系の機能との関連性についてはこれまで報告されていない。 rs1283671以外の上位候補としては、Dominant modelのランク41において、GABRB2遺伝子領域のrs145778277多型が挙げられた(表2)。オピオイド鎮痛薬の一種オキシコドンを用いた近年の研究では、オキシコドンの静脈内投与実験において、長期間のオキシコドンの自己投与を経験したマウスは、対照群と比較して、Gabrb2の遺伝子発現が有意に減少することが報告されている10)。その他上位候補としては、Recessive modelのランク21において、SCN5A遺伝子領域のkgp8286424多型が挙げられた(表3)。培養細胞を用いた近年の研究では、オキシコドンや他のオピオイドの一種であるメサドンは、Scn5aのナトリウムチャネルを阻害し、それがQT延長症候群や局所麻酔及びそれにより引き起こされる心臓毒性等の原因となっている可能性が示されている11,12)。これらの遺伝子領域の候補遺伝子多型が遺伝子発現や機能に影響し、オピオイド鎮痛にも関わる何らかの神経系の機能に影響する可能性も考えられるが、鎮痛作用との134

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