方 法することで、BCRP生体内基質を探索するのに有用であるものの、系統間の差異はBCRP阻害剤による影響とは異なる。そこで、本研究では阻害剤をマウスに経口投与し、BCRP基質を食餌由来化合物も含めて探索した。動物 C57BL/6Jマウスは、日本SLC(浜松)から入手した。全ての動物実験は、金沢大学動物実験委員会において審査および承認のもとで実施した。血漿サンプルのアンターゲットメタボロミクス解析 6週齢の雄性C57BL/6Jマウスに、10%(w/w)きな粉を2週間混餌投与後、BCRP阻害剤としてlapatinib(30、90 mg/kg)またはvehicleを経口投与した。Lapatinib投与から7時間後に採取した血漿を前処理後、液体クロマトグラフィー-飛行時間型質量分析計(Xevo G2 QTOFMS、Waters、Milford、MA)でMS scanningした。測定は、負イオンモードのエレクトロスプレーイオン化法で、collision電圧を0、10、20、40 eVと0.1秒毎に切り替えながらall-ion fragmentation(AIF)モードで実施した。データ解析は、ソフトウェアMS-DIAL (ver. 4.38)8)でピークを検出し、溶出時間とピーク強度の相関関係からデコンボリューションして8,9)、MS/MSスペクトルを作成した。BCRP阻害剤が食餌由来のイソフラボン硫酸抱合体の血漿中濃度推移に与える影響 6週齢の雄性C57BL/6Jマウスに、10%(w/w)きな粉を2週間混餌投与後、BCRP阻害剤としてlapatinib(30、90 mg/kg)、febuxostat(30、90 mg/kg)またはvehicleを経口投与した。BCRP阻害剤の投与から1時間後にsulfasalazine(5 mg/kg)を経口投与し、1、1.5、2、3、5、7時間後に尾静脈から経時的に採血した。血漿中daidzein sulfate(DS)、equol sulfate(ES)は、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)で定量した。BCRP阻害剤がイソフラボン親化合物投与後の硫酸抱合体の血漿中濃度推移に与える影響 通常餌を摂餌した8週齢の雄性C57BL/6Jマウスに、BCRP阻害剤としてlapatinib(90 mg/kg)またはvehicleを経口投与した。Lapatinibの投与から1時間後に、daidzeinとequol(それぞれ3、10 mg/kg)を混合して経口投与し、1、1.25、1.5、2、4、7時間後に尾静脈から経時的に採血した。血漿中DS、ESはLC-MS/MSで定量した。ヒトiPS細胞由来小腸上皮様細胞におけるイソフラボン硫酸抱合体の出現にBCRP阻害剤が与える影響 ヒトiPS細胞由来小腸上皮様細胞(F-hiSIEC、富士フイルム、東京)は、セルカルチャーインサートで23日間培養、分化させたものを実験に供した10)。HBSS緩衝液で37 ℃30分間プレインキュベーション後、BCRP阻害剤としてlapatinib(0.1、1 µM)、febuxostat (10 µM)またはHBSSのみで、さらに30分間インキュベーションした。その後、刷子縁膜チャンバーの緩衝液を、daidzein、genistein、equol (各1 µM)とlucifer yellow(LY; 100 µM)を含み、阻害剤(lapatinibまたはfebuxostat)またはHBSSのみを含むバッファーに置換して、アッセイを開始した。開始から0、15、30、60、120分後に基底膜側からバッファー(10 µL)を採取し、等容積のHBSSを添加した。サンプル中のLYは、マルチモードプレートリーダー(Spark10M、Tecan、Männedorf、Switzerland)で、蛍光強度(Ex: 430 nm、Em: 535 nm)を測定した。DSおよびESは、LC-MS/MSで測定した。BCRP発現膜小胞による輸送実験 Expi293F細胞(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)に、プラスミドpcDNA3/BCRPをExpiFectamine 293(Thermo Fisher Scientific)で導入し、72時間37 ℃8% CO2で振盪培養した。細胞をNitrogen Cavitation(Parr、Moline、IL)で破砕後、100,000×g149
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