利益相反(COI)謝 辞疾患において認められる。本研究で確立した技術を基盤とすることで、PAH に加え、各種動脈疾患の病態解明や治療薬の探索に貢献できると期待される。 本研究は、Front Bioeng Biotechnol 2020; 8: 482 9)に掲載された。 本研究の遂行にあたり、研究助成を賜りました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に御礼申し上げます。本研究にご協力いただきました患者様、そして、研究を推進するにあたり、ご指導、ご支援頂いた国立病院機構岡山医療センター 松原広己先生、岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 田中啓祥助教、東北大学大学院工学研究科 山本雅哉教授、就実大学薬学部薬学科 出石恭久助教に厚く御礼申し上げます。また、研究を共に遂行してくださった国立病院機構岡山医療センター 角和子さん、岡山大学薬学部 森井千春さんに深く感謝いたします。 講演料:アクテリオン・ファーマシューティカルズ・ジャパン株式会社、日本新薬株式会社、ファイザー株式会社168も確認した。PDGF による中膜肥厚と PASMC 増殖に対するこれら PAH 治療薬の抑制効果を 3D で解析したのは今回が初めてである。この結果は、従来の平面培養において、同じ分子経路を標的としたこれらの PAH 治療薬や関連化合物によるPDGF 誘導 PASMC 増殖の抑制を示した過去の報告とも一致している。このことは、PAH における中膜肥厚の新規 in vitro モデルの妥当性と、候補化合物の有効性を評価するための出力指標としての 3D 培養モデルの有用性を示唆する。将来的には、正常 PASMC と PAH 患者由来 PASMC を使用した3D 培養モデルを構築し、同時に評価することにより、病態解明や、治療薬候補物質の毒性や PAH に対する特異性を評価するのに役立つ可能性がある。 これまでの報告により、細胞を平面で培養するか3D で培養するかによって、遺伝子発現プロファイルが異なることが明らかになっており、3D 培養条件では、生体内組織により近い発現プロファイルが示されている 13)。したがって、我々の作製した 3D培養モデルは、将来的に PAH の肺動脈中膜肥厚を抑制する能力を持つ新規化合物のスクリーニングに使用できることが期待される。この目的のためには、3D 培養モデルにおける遺伝子発現プロファイルを、従来の平面培養や生体組織と比較してさらに分析を進めることが必要である。 今回我々は、PAH 患者由来 PASMC を用いて、肺動脈中膜肥厚を模倣した in vitro モデルを開発した。動脈中膜の肥厚は PAH だけでなく、PAH以外の肺高血圧症や、動脈硬化症など、様々な動脈
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