はじめに留学に至るまでの経緯(2018年1月~2021年2月)金子 開知KANEKO KAICHI 私は、2018年1月から2021年2月までの約3年間、アメリカ合衆国のニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区にあるワイル・コーネル医科大学の関連病院であるHospital for Special Surgery(HSS)の研究施設にて基礎研究をさせて頂きました(写真1)。海外での生活とそこでの研究を通じて海外留学ならではの大変貴重な経験をすることができました。このような留学を支えて下さった臨床薬理研究振興財団に心から厚く御礼申し上げます。感謝の意を込めましてここに留学記をご報告申し上げます。 私は2005年3月に東邦大学医学部医学科を卒業後リウマチ科医として臨床に従事してきました。実臨床の中で、ステロイド療法による合併症であるステロイド性骨粗鬆症によりQOLが低下している患者さんを多数経験し、ステロイドによる骨代謝の影響に関心を持ちました。そこで、大学院時代に川合眞一先生のご指導の下、ステロイド性骨粗鬆症に関する基礎および臨床研究に取り組みました。PROFILE2005年 東邦大学医学部医学科卒業2005年 東邦大学医療センター大橋病院 初期研修2007年 東邦大学医療センター大森病院膠原病科入局2012年 東邦大学大学院医学研究科博士課程(生体応答系 膠原病内科学)修了東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野2012年 東邦大学医学部医学科内科学講座膠原病学分野 シニアレジデント2013年 東邦大学医学部医学科内科学講座膠原病学分野 助教2018年 Hospital for Special Surgery Postdoctoral Fellow2021年 東邦大学医学部医学科内科学講座膠原病学分野 院内講師 私は学生から初期研修時代にかけて海外留学をすることを全く考えていませんでした。大学院時代の研究成果を国際学会で発表した経験や海外学術雑誌に掲載されたことをきっかけに、少しずつ海外留学を意識するようになりました。また、川合眞一先生が常に海外に発信する姿勢で研究を取り組んでいる姿を見て、いつかは世界に通じる仕事がしてみたいという気持ちが芽生えてきました。そこで、大学院博士課程修了後に、炎症免疫やステロイドによる骨代謝の影響について海外でさらに深く研究したいと思い、骨免疫領域の研究ができる海外研究室を探しました。その中で、HSSの研究部門は、骨免疫領域において世界でトップレベルの研究室の多くを擁しており、これまで一流学術雑誌に多くの論文を発表しており、HSSの研究部門にて研究留学をしたいと思いました。HSS研究部門の最高科学責任者で、著名なリウマチ科医であるDr. Lionel B. Ivashkivの下で研究していた京都大学整形外科の村田浩一先生に相談しました。その際に、独立したばかりで破骨細胞研究のスペシャリストであるDr. Kyung-Hyun Park-Minを村田先生から紹介して頂きました。その後、Dr. Park-Minへメールにて履歴書を送った後にSkypeで面談する機会を頂きました。Dr. Park-Minの気さくで171ワイル・コーネル医科大学留学記
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