臨床薬理の進歩 No.43
192/233

研究内容について写真6  Hospital for Special Surgeryの日本人の臨床医、研究員とバーベキューパーティーでの集合写真出ると自然豊かであり、研究室の同僚と湖や州立公園に遊びに行きました(写真6)。治安に関してニューヨークの治安が悪いというのは、一昔前のことです。現在では比較的安全な都市になり、研究室のあったアッパーイーストサイドは特に安全な地区であり、実験で遅くなった時も安心して帰宅することができました。 マンハッタンで留学するメリットは、世界中から様々な人種の人たちが集まっており、たくさんの文化や考えに触れることができます。また、エンタメやイベントが非常に多く刺激的な留学生活を送れます。無料で参加できるイベントも多く、マンハッタン中心部のブライアントパークの芝生で寝そべりながらオペラを観たり、セントラルパークでシェイクスピアを観たり、教会でニューヨーク交響楽団のクラッシク音楽を聴くことなど素晴らしい体験することができました。一方で、マンハッタンで留学するデメリットを挙げるとすれば、家賃や物価が非常に高いことでした。外食は食事そのものの値段に加え、8.875%の消費税と約15%のチップが上乗せされるので、昼食で2千円は軽く超えてしまいます。またアパートの平均家賃は1ベッドルームで$3,000以上と、日本と比べるとはるかに高い平均額となっています。日本人留学者の多くは、できるだけ無駄を省いて工夫をしながら生活をしておりました。 私の留学中における研究テーマは、ステロイド性大腿骨頭壊死の免疫学的機序の解明と、閉経後骨粗鬆症における新規バイオマーカーの探索でした。 ステロイド性大腿骨頭壊死の病態は大腿骨の阻血性壊死であると考えられていますが、詳細な発症についてはいまだ明らかにされていません。そこで、大腿骨頭壊死患者における末梢血単球の免疫表現型の詳細な解析を行いました。ステロイド性大腿骨頭壊死とステロイド以外が原因の大腿骨頭壊死の患者の末梢血単核細胞の間には異なる免疫表現型である結果を認めました。さらに、患者からの採血よりCD14陽性単球を分離し、破骨細胞に分化させ、その破骨細胞を用いてRNAシークエンスを行いました。トランスクリプトーム解析により、ステロイド性大腿骨頭174

元のページ  ../index.html#192

このブックを見る