RBHとNHSについて写真2 Royal Brompton Hospital(写真2)はヴィクトリア王朝時代に建てられた結核病院だったそうです。春には世界的に有名な園芸の博覧会であるチェルシーフラワーショーが開催され、また地元フットボールチームのチェルシーFCのホームグラウンドがすぐ近くにあるため、試合がある日は真っ青なユニフォームを着たファンでとても混雑していました。 街のあちこちにパブがあり、昼間から立ったままお酒を飲む人が大勢集まっていて、特にクリケットやラグビーのワールドカップの最中はビールを片手に観戦するお客さんで大賑わいでした。私も仕事終わりにfellow仲間と一杯飲みに行ったりしました。 英国の夏は日が長く、朝は5時台から夜も10時くらいまで明るいため、どのレストランやパブも外に座席を設け、夕方からゆっくり食事とお酒を楽しんでいる人が多く見られました。反対に冬は9時頃に日が昇り、3時台には日没になってしまうため、短い夏の間は目一杯外で太陽を楽しむ習慣のようです。一般的にロンドンは雨が多いと言われていますが、一日中雨模様の日はほとんどありません。むしろ一日の間に晴れと雨と風と曇りとが目まぐるしく変わるため、雨が降り出しても誰も傘を差さず、店先で雨宿りしてやり過ごす人もいました。 英国は食事があまり美味しくないという印象があると思いますが、きちんとしたレストランに行けば充分に美味しい多国籍料理を食べることができます。ただ日常利用するスーパーのお惣菜や、病院の食堂の食事は日本人の口には合わない物が多かったです。ただ幸いなことに空前の日本食ブームが訪れていたため、少し割高ですが焼きそばやおにぎりを手軽に買えるファストフードチェーンが展開していたり、スーパーで枝豆やうどんのような麺類が買えたりと、馴染みのある食材が手に入るのは有難かったです。 RBHは英国のみならず欧州でも最大級の循環器・呼吸器の専門病院であり、中東やアジア諸国からはるばる受診する患者さんもいます。英国には日本と同様、国民皆保険(NHS; National Health Service)制度があるため、処方薬と歯科治療以外は公費で賄われます。私のような外国人もビザを取得するときにNHS費を治めることになるため、外国人もこの保険を利用することができます。さらに英国の医療制度で特徴的なのは、専門医(Consultant)と家庭医(GP; General Practitioner)が初期研修制度からすでに分かれており、患者さんは地域ごとに指定されたGPに登録して普段の診療はそちらで受け、ConsultantはGPからの紹介無しには受診することができません。日本から行った私から見ると、患者側が医療機関を選ぶ選択肢が狭くて、かかりつけのGPの診断能力に依存する割合が多く、実際にConsultantへの紹介が遅れて死亡した患者さんのニュースなども見ると、ややリスクが高い仕組みのように思いました。しかしその反面、医師の勤務条件は非常に良く、特にConsultantは主治医制ではなく完全に当番制のためオン/オフがはっきりした生活をしているようで、夏には交代で1〜2カ月のバカンスに行くのが習慣のようでした。またライフワークバランスが取れている178
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