臨床薬理の進歩 No.43
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b図1. 症例選抜本研究の症例選択。EBV, Epstein-Barr virus; MSI, microsatellite instabilitySerial sections of tumor tissue461cases of surgically resected esophagogastric adenocarcinoma at 4 institutions in Japan1. Cancer Institute Hospital, 267 cases (Apr. 2005 -Jan. 2015) 2. Kumamoto University Hospital, 93 cases (Feb. 2000 -Jan. 2015)3. Kyushu University Hospital,50 cases (Jun. 2005 -Dec. 2014) 51 cases (Feb. 2005 -Dec. 2013)4. Kyushu Cancer Center,372cases for EBV assay363EBV-negative cases for MSI analysisH&E stained slides for DNA extractionH&EH&EH&EH&EH&EH&EH&E68 cases with neoadjuvant chemotherapy (N=65) or neoadjuvant chemoradiotherapy (N=3)21 cases lacking paired tumor/normal DNA9 cases with EBV-positive tumorSerial sectionsIHCIHCIHCH&EIHCH&EUnstained slides for immunohistochemistryIHCIHCIHCIHCIHCIHC対象と方法その生体防御機構としてのバレット食道(Barrett’s esophagus)を前がん病変とし、欧米に多い食道がんと言われている。近年、本邦においても食生活の欧米化と肥満人口の割合増加に伴い、本疾患の増加傾向が指摘されている。しかしながら本疾患は予後不良のままであり、更なる病態解明と治療薬の開発が必須である2〜5)。 本研究では、MSI-L腫瘍の臨床病理学的・分子生物学的特徴を明らかにすることを目的とした。我々は食道胃接合部腺癌を対象とし、MSI-Lも免疫原性的特徴を有しているという仮説を立て、MSSおよび MSI-Hと比較し検証した。MSI-Lに免疫原性的特徴を有することが明らかとなれば、独立したサブグループである可能性があり、従来のようにMSSと同等と扱うべきではなく、MSI-Hと同様に免疫治療の効果が期待でき、がん治療における新規免疫治療剤の開発につながる。対象 2000年〜2015年において、国内4施設(がん研有明病院、九州大学消化器・総合外科、九州がんセンター消化器外科、熊本大学消化器外科、全施設倫理委員会承認済)で外科的に切除された食道胃接合部腺癌を対象とした(図1)。合計461症例より、術前化学療法(N=65)または術前放射線化学療法(N=3)を受けた68症例、さらに腫瘍部と正常部のペアDNAを抽出することができなかった21症例を除く、合計372症例を本研究の対象とした。またThe Cancer Genome Atlas(TCGA)のパブリックデータベースを用いて、本研究で得られた結果と比較し検証することとした。DNA抽出および免疫染色に使用する組織 対象とする症例の外科切除組織のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックより、連続切片を作製した。腫瘍組織については、腫瘍の最深部のブロックを、また正常組織については、胃正常粘膜のブロックを選択した。この連続切片の一部をDNA抽出に、残りを免疫染色(immunohistochemical、IHC)に使用した(図2a)。DNA抽出 作製した連続切片の一部をHematoxylin and Eosin(H&E)で染色した6)。H&E染色したスライドからマクロダイセクション法により、腫瘍部または正常部のみを取り出し、QIAamp DNA 42a

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