臨床薬理の進歩 No.43
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染色を行った。染色したスライドを顕微鏡で観察し、腫瘍細胞の核が茶色く染まっている状態を「EBERの発現あり」として、その症例を「EBV陽性」とした。MSI-PCR assay 本研究ではMSI-LとMSSを区別する必要があり、MSI-PCR assayによりMSIの判定を行った。これまで、大腸がんにおいてBAT40は、MSI-Lを検出するために有用であることが報告されている7)。そこで、National Cancer Institute(NCI)が推奨し、NCIパネルと呼ばれている5種類のマーカー(BAT25、BAT26、D2S123、D5S346、D17S250)1,3,7〜10)にBAT40を加えた、6種類のマーカーを使用することとした。これら6種類のマーカーのDNAフラグメント解析には、ABI PRISM 3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用した。解析結果は2名により評価され、不安定性ありと判定されたマーカーの数が2つ以上の場合はMSI-H、1つの場合はMSI-L、またいずれのマーカーでも不安定性がないと判定された症例をMSSとした。病理組織学的評価および免疫染色の結果判定 病理組織学的評価および免疫染色の結果判定は、2名の病理医により行われた。病理組織型は、Lauren分類およびWHO分類に基づき決定された。また本研究でのIHCおよびISHは、全自動染色装置(BOND-Ⅲ、Leica BiosystemsまたはBenchMark ULTRA、Roche Diagnostics、Risch-Rotkreuz、Switzerland)を使用して行った。 細胞核内のKi-67の発現は、一般に細胞増殖および細胞周期のマーカーとして使用されている。このKi-67の免疫染色は、一次抗体(clone MIB-1、200倍希釈、Agilent Technologies、Santa Clara、CA)と室温にて15分間インキュベーションし、BOND-Ⅲのマニュアルに従って行った。結果はKi-67の発現ごとに、5つのグループ(0-9%、10-29%、30-49%、50-79%および80-100%)に分類することとした。 HER2の免疫染色は、一次抗体(clone 4B5、Roche Diagnostics)と室温にて15分間インキュベートし、BenchMark ULTRAのマニュアルに従って行った。HER2 IHC法の判定は、実臨床と同様の方法で行った。まず、「染色強度スコア」を4つに、すなわち、0(細胞膜に陽性染色なし、または細胞膜の陽性染色があるがん細胞が10%未満)、1+(ほとんど識別できないほどかすかな細胞膜の染色があるがん細胞が10%以上)、2+(弱〜中程度の完全な側方あるいは側方・基底膜側の細胞膜の陽性染色があるがん細胞が10%以上)および3+(強い完全な側方あるいは側方・基底膜側の細胞膜の陽性染色がある細胞が10%以上)に分類した4)。次に、染色強度スコアが0および1+を「陰性」、2+を「境界域(equivocal)」そして3+を「陽性」とする、「HER2過剰発現判定」の3つに分類した4)。 PD-L1の免疫染色は、一次抗体(clone E1L3N、400倍希釈、Cell Signaling Technology、Danvers、MA)と室温にて30分間インキュベートし、細胞膜においてPD-L1の発現があるがん細胞の割合を示すtumor proportion score(TPS)により評価を行った。TPSが1%以上の場合を、PD-L1の発現を「陽性」とした11)。 腫瘍浸潤リンパ球との関連を調べるため、腫瘍内(intratumor)および腫瘍辺縁部(invasive margin)のCD8+細胞の数を測定することとした(図2b)。連続する3枚の切片を使い、1枚をCD8抗体(clone C8/144B、Nichirei Bioscience、Tokyo、Japan)で、1枚をpan-cytokeratin(CK)抗体(clone AE1/AE3、200倍希釈、Leica Biosystems)で免疫染色を行い、もう1枚はH&E染色を行った。CK染色スライドで腫瘍の境界線を引き、腫瘍内と腫瘍辺縁部に分け、このCK染色スライドで引いた境界線を、H&E染色スライド上で同様に引いた。「腫瘍内」とは、境界線の内側のことであり、「腫瘍辺縁部」とは、20倍に設定したBX41顕微鏡(Olympus、Tokyo、Japan)で観察した視野において、腫瘍と正常の割合がほぼ同じになる箇所とした。ただし、44

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