方 法を尾静脈内に投与し、1時間後に灌流と臓器の摘出を行った。臓器中のエバンスブルーを抽出し、620 nmの吸光度測定により定量した。リアルタイム RT-PCR 臓器と細胞から得られた total RNA から cDNAを 作 製 し、 遺 伝 子 特 異 的 プ ラ イ マ ー と SYBR Green PCR Kit を用いてリアルタイム RT-PCR を行った。標的配列を含むプラスミドを用いて得られた検量線からコピー数を算出し、GAPDH のコピー数で補正した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた解析 低血清培地(0.5% FBS 含有 EBM-2)で 16 時間培養した HUVEC を、K02288(1 µM)で 30 分処理した。BMP9(1 ng/mL)を添加し 6 時間後に、RNAを調製した。siRNA を用いた実験では、HUVECに SMAD1 と SMAD5 に対する siRNA もしくはコントロール siRNA を導入後、低血清培地で 16時間培養した。BMP9 で処理後、6 時間後に RNAを調製し、リアルタイム RT-PCR に用いた。マトリゲルを用いた解析では、HUVEC をマトリゲルコーティングされたプレートに播種し、24 時間後にK02288 を各濃度で処理した。24 時間培養後に、Cell Recovery Solution を用いてゲルから細胞を回収し、RNA を精製した。得られた RNA を用いて、リアルタイム RT-PCR で解析した。統計手法 2 群間の比較には、Student’s t 検定を用いた。多群間の比較には、Tukey 検定または Dunnett 検定を用いた。生存曲線の比較には log-rank 検定を用いた。両側検定における p 値が 5% 未満の際に統計学的に有意差ありと判定した。70ウイルス、lipopolysaccharide(LPS)投与モデル)の死亡率を抑制する 7,8)。これらの知見を踏まえ、著者らは Robo4 発現を促進し、血管透過性を抑制する新しい戦略で、重症感染症・敗血症を治療できるのではないかと考えた。今回の研究では内皮細胞における Robo4 の発現促進により敗血症病態を緩和できるかを評価するとともに、Robo4 発現促進分子の探索とその敗血症治療効果を解析した。Robo4 過剰発現マウスの作製 CAG プロモーター、stop コドン、loxP 配列、マウスRobo4 の cDNA を含む DNA 配列を、C57BL/6マウスの受精卵に導入後、偽妊娠マウスに移植した。導入配列を持つマウスを選択し、CDH5-Cre/ERT2マウスと交配させ、血管内皮細胞特異的に Robo4 を過剰発現するマウス(Robo4iEC マウス)を樹立した。本研究の動物実験は、大阪大学薬学研究科の動物実験委員会での審査と承認を受け実施した。マウスにおける Robo4 発現の確認 Robo4iEC マウス(5-7 週齢)にタモキシフェンを4 日間、腹腔内投与(1 mg/day)し、14 日後にマウスから臓器を摘出し、RNA を精製後、リアルタイムRT-PCR により Robo4 mRNA 量を解析した。また、bone morphologenic protein 9(BMP9)受容体 activin receptor-like kinase(ALK1)の阻害剤(K02288)をC57B L /6N マウス(7-8 週齢)に尾静脈内投与(0.5 mg/kg)し、24 時間後に肺と腎臓を摘出し、Robo4 mRNA 量を同様の手法で解析した。敗血症モデルの解析 タモキシフェンを投与し14日間飼育したRobo4iECマウスの腹腔にLPSを投与(25 mg/kg)し、生存時間を測定した。また、K02288を投与し24時間飼育したC57BL/6Nマウスの腹腔にLPSを投与(16.5 mg/kg)し、生存時間の測定と血管透過性の解析を行った。透過性の解析は、エバンスブルー
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