臨床薬理の進歩 No.44
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( ( )%)L/901×率症発少減板小血値低最数板小血表2 リネゾリドの血小板減少に及ぼす危険因子に関する多変量ロジスティック回帰分析の結果CCr: creatinine clearance, PPI: proton pump inhibitor 図1 ランソプラゾール併用群(n=75)及び非併用群(n=75)におけるリネゾリド投与後の血小板数の最低値横線は中央値を示す。Mann–Whitney U検定を用いて統計解析を行った。結  果変数 年齢(歳)男性リネゾリド投与量(mg/kg/日)リネゾリド投与期間(日)治療開始前の血小板数(×109/L)治療開始前のCCr(mL/min)治療開始前の総ビリルビン値(mg/dL)ランソプラゾールの併用他のPPIの併用p=0.003(–)オッズ比 95%信頼区間1.010.710.961.071.000.991.052.331.840.98–1.030.30–1.720.88–1.041.01–1.130.99–1.010.98–0.990.89–1.211.06–5.160.60–5.66p=0.020 (Wilcoxon test)図2 ランソプラゾール併用群(n=75)及び非併用群(n=75)におけるリネゾリド投与後の血小板減少発症期間に対するカプランマイヤー解析Gehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて統計解析を行った。Pro 14.3.0ソフトフェアを使用し、有意水準はp<0.05とした。リネゾリド投与患者における血小板減少に及ぼすPPIの影響に関する後方視的研究 選択基準をすべて満たし、除外基準のいずれにも該当しない患者150名を本研究の調査対象とした。表1に血小板減少未発症群及び発症群の患者背景を示す。登録された患者のうち、65名(43%)の患者で血小板減少が認められた。血小板減少発症群では未発症群と比較し、リネゾリドの投与期間が有意に長く(p=0.009)、CCrが有意に低く(p=0.011)、ランソプラゾール併用割合が有意に高かった(62% vs 41%、p=0.021)。一方、その他の患者背景については2群間で有意な差は認められなかった。 さらに、リネゾリドの血小板減少に及ぼす影響因子の評価のため、血小板減少を従属変数とし、年齢、性別、リネゾリド投与量、リネゾリド投与期間、治療開始前の血小板数・CCr・総ビリルビン値、ランソプラゾールの併用、他のPPIの併用を独立変数に組み込んだ多変量ロジスティック回帰分析を行った。多変量ロジスティック回帰分析の結果を表2に示す。多変量ロジスティック回帰分析の結果から血小板減少に及ぼす有意な危険因子としてランソプラゾールの併用(オッズ比:2.33、p=0.034)、リネゾリドの投与期間(オッズ比:1.07、p=0.007)、CCr (オッズ比:0.99、p=0.008)が挙げられたが、ランソプラゾール以外のPPIの併用は有意な関連因子とはならなかった(オッズ比:1.84、p=0.292)。 次に、ランソプラゾール併用群(n=75)と非p値0.5950.4540.2580.0070.0670.0080.5560.0340.292(–)96

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