臨床薬理の進歩 No.44
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表3 リネゾリド投与による血小板減少に及ぼすPPIの影響に関するFAERS解析PPIsランソプラゾール他のPPI他のPPIにはエソメプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールが含まれる。Fisher’s exact検定を用いて統計解析を行った。CI: confidence interval, FAERS: FDA adverse event reporting system, PPI: proton pump inhibitor図3 HEK-pBK細胞、HEK-hOAT1細胞及びHEK-hOAT3細胞における(A)リネゾリド、(B)PNU-142300及び(C)PNU-142586の細胞内取り込み量の比較各細胞に1 µMの薬液を添加し、37 °Cで5分間インキュベーション(pH 7.4)を行った。平均値±標準誤差(n=3), **: p<0.01 vs HEK-pBK細胞、Dunnett検定を用いて統計解析を行った。リネゾリド投与による血小板減少の報告件数 (%) 併用なし1,060 / 11,715 (9)1,003 / 10,832 (10)併用あり63 / 449 (14)120 / 1,332 (10)報告オッズ比(95%信頼区間)1.64 (1.25–2.16)0.97 (0.80–1.18)<0.0010.802p値併用群(n=75)に分類し、リネゾリド投与期間中における血小板数最低値及び血小板減少発症までの期間に及ぼすランソプラゾール併用の影響について解析した。ランソプラゾール併用群及び非併用群におけるリネゾリド投与後の血小板数最低値の結果を図1に示す。ランソプラゾール併用群におけるリネゾリド投与期間中における血小板数の最低値は、非併用群に比べて有意に低かった(p=0.003)。また、ランソプラゾール併用群及び非併用群におけるリネゾリド投与後の血小板減少発症までの期間に対するカプランマイヤー解析の結果を図2に示す。ランソプラゾール併用群では非併用群と比較し、血小板減少発症までの期間が有意に短縮していた(p=0.020)。リネゾリド投与による血小板減少に及ぼすPPIの影響に関するFAERS解析 FAERSに登録された報告のうち、リネゾリドが投与された12,164件の報告を解析に使用した。表3にPPI併用患者及び非併用患者におけるリネゾリド投与による血小板減少報告割合、報告オッズ比、95%信頼区間を示す。ランソプラゾール併用患者における血小板減少の報告割合は、ランソプラゾール非併用群と比べて有意に高かった(14% vs 9%、p<0.001)。さらに、リネゾリド投与による血小板減少に対してランソプラゾール併用で正のシグナルが検出されたが(報告オッズ比:1.64、95%信頼区間:1.25–2.16)、ランソプラゾール以外のPPIではシグナルは検出されず(報告オッズ比:0.97、95%信頼区間:0.80–1.18)、後方視的調査と矛盾しない結果が得られた。HEK-pBK細胞、HEK-hOAT1細胞及びHEK-hOAT3細胞におけるリネゾリド、PNU-142300及びPNU-142586の細胞内取込み量の比較 HEK-pBK細胞、HEK-hOAT1細胞及びHEK-hOAT3細胞におけるリネゾリド、PNU-142300及びPNU-142586の細胞内取込み量の比較を図3に示す。リネゾリド及びPNU-142300の細胞内取込み量は、各細胞間で大きな違いは認められなかった**9797

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