臨床薬理の進歩 No.44
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Ⅰ■■結  果はCTCAE Ver5.0に従って評定した。BNP上昇は100 pg/mL以上かつベースラインの2倍以上と定義された。左室機能障害は、安静時駆出率が53%未満で、ベースラインから10%以上低下した場合と定義した。Global longitudinal strain(GLS)の低下はベースラインから15%以上の低下、高血圧はCTCAEグレード3以上と定義した。高感度トロポニンIはAbbott Architect(Abbott Diagnostics、Abbott Park、IL、USA)により測定した。トロポニンは心筋炎のバイオマーカーとして有力なスクリーニングツールであるため、トロポニンIが陽性の場合は心筋炎の有無を確認するため、プロトコールで他の所見の有無を確認した。・臨床的心筋炎の定義 心筋炎は、欧州心臓病学会(ESC)のガイドラインで推奨されている心筋炎のスコアリングシステム7)に基づき、臨床的特徴、バイオマーカー、画像的特徴など、選択された変数を組み込んで診断した。 さらに、トロポニンIが上昇した症例では、以下のいずれかが認められた場合にも、臨床的に心筋炎が疑われると診断した:1)1つ以上の臨床症状、2)無症状であってもECG/ホルター心電図/負荷試験での陽性判定/心臓画像診断(心エコー)での機能・構造異常。・統計解析 連続変数は、平均値±標準誤差で記述した。さらに、正規性に基づき、Student's t-testを使用して比較を行った。カテゴリー変数はパーセンテージで表記し、χ2検定を用いた。統計解析は、IBM SPSS Statistics for Windows, version 25.0(IBM Inc.、Armonk、NY、USA)を用いて実施した。統計的有意水準はp < 0.05とした。・患者背景 本解析では、2017年4月から2020年5月にかけて、119119■■■■■■図2 本研究で採⽤した前向きスクリーニングプロトコール■■■■■■■■■■■■

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