臨床薬理の進歩 No.44
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国際医療福祉大学三田病院における腫瘍循環器外来において、定められたプロトコールを用いて連続126例の患者をスクリーニングした。 患者の平均年齢は64.0±1.2歳であり、69.0%が男性であった。がん種は各ICIの適応により異なるが、全体では頭頸部がんが55.6%と最も多く、次いで肺がん(33.3%)、消化器がん(4.8%)、泌尿器がん(4.0%)、乳がん(1.6%)、肉腫(0.8%)であった。心血管疾患の既往、胸部放射線治療の既往、アントラサイクリン治療の既往は、それぞれ30.2%、28.6%、3.2%であった。・検査異常の内容 図3に本研究におけるCONSORT flow diagramを示す。本コホート内の46例(36.5%)は少なくとも1つの心血管検査で異常所見を呈し、発症までの時間の中央値はICI投与後21日であった。表1に本研究で認められた異常所見の一覧と発症までの日数を示す。心電図異常では、伝導障害が非致死性の合併症として比較的高い確率で観察された(5.6%)。心エコー検査では、左室機能不全が2.4%と少数であった。トロポニンIの上昇は18例(14.3 %)に認められた。・臨床的心筋炎の頻度と重症度 方法の項で述べたように、心筋炎はESCのガイドライン7)に従って評価した。トロポニンI上昇を認めた18例のうち、トロポニンI以外の臨床症状や診断基準を満たした13例(10.3 %)を臨床的に心筋炎が疑われる患者として評価した。臨床的に心筋炎が疑われた13例のうち、8例は症状があり、うち4例(3.2%)は症状が軽症であったが、残りの4例(3.2%)は直ちにICIの中止を必要とした。その他のirAEについては肺炎3例、筋炎、大腸炎、脳炎、ギランバレー症候群各1例などの合併が認められた。臨床的に疑われる心筋炎は重症度に120126 Patients treated withICI at IUHW Mita HospitalTroponin-■ Elevation(n=18)Clinically suspectedmyocarditis(n=13)Asymptomatic(n=5)Mild symptoms(n=4)図3 本研究におけるCONSORT flow diagram6)No Troponin-■ Elevation(n=108)Symptomatic(n=8)ICI terminations withmoderate to severeconditions(n=4)

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