臨床薬理の進歩 No.44
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710361321211234122表1 免疫チェックポイント阻害薬投与中に認められた各種検査異常6)バイオマーカー異常  CK上昇  BNP上昇  トロポニンI上昇心電図所見  伝導障害  非特異的なST-T波変化  PAC頻発  PVC頻発  非持続性心室頻拍  上室性頻拍  洞性頻拍  QT延長心エコー図所見  心嚢液貯留の増加  左心室壁の菲薄化  左心室拡張  三尖弁閉鎖不全の悪化  左心室機能不全  ¦GLS¦の減少血圧の上昇胸水貯留の増加静脈血栓塞栓症異常項目nICI投与開始から発症までの日数の中央値[Min–Max]12111832 [8–89]23 [5–113]26.5 [3–159]17 [1–91]14 [2–44]52 [33–117]12 [0–51]031 [30–48]55.5 [2–109]23410 [6–14]3415111.5 [9–14]109 [3–530]14 [3−33]41611.5 [9–14]43.5 [41–46]考  察かかわらずICI治療の早期に出現し(中央値、44日)、そのうち84.6%がICI開始後2カ月以内に出現した。126例中、心筋炎でICI治療を中断したのは4例(3.2%)に過ぎなかったが、早期に介入できたためか、いずれも致命的なものではなかった。4例のうち1例は免疫グロブリン静注と血漿交換、ステロイド療法を受け、もう1例は免疫グロブリン静注とステロイド療法を受け、残りの2例はステロイド療法を受けた。非常に興味深いことに、無症状例と軽症例は全症例、その後に注意深く経過観察を行うことによりICIの投与を中断せずに継続することができた。 なお、心筋炎を早期に発見するためのバイオマーカーを調べたところ、ベースラインのデータでは臨床的に心筋炎が疑われる群とそうでない群の間に差はなかった。また心不全や冠動脈疾患の既知の危険因子との関連も見いだせなかった。 一方、無症状で軽度の心筋炎の患者にはCKの上昇は見られなかったが、中等度から重度の心筋炎の患者4例全員にCKの上昇が見られ、それがトロポニンIの上昇に先行していた。 本研究は実臨床でICI治療を受けた患者コホートにおいて、心血管イベントのスクリーニングをプロ121121

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