臨床薬理の進歩 No.44
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がある。 本研究では内視鏡的食道炎は2例(2.9%)にみられた。Ashidaら17)は内視鏡的食道炎を有する患者に対し、ボノプラザン20 mg/dayを8週間投与すると99.0%の患者で食道炎が消失すると報告しており、ボノプラザン抵抗性の食道炎は稀な病態と考えられる。これまでにボノプラザン抵抗性の食道炎に対してHRMとMII-pHを用いて詳細に検討した報告はほとんどない。本研究で食道炎を認めた2例(Case 1, 2)では異常酸逆流はなく、また食道無蠕動を伴っていた。胆汁や膵液を主とする十二指腸液の逆流でも食道粘膜傷害を来すが、さらに食道運動機能障害によって逆流液の食道クリアランスが低下したことで食道炎が重症化したと考えられた。ボノプラザン抵抗性食道炎の発生には十二指腸液の逆流のみならず、食道運動機能障害の併存によるところも大きいと考えられる。 GERDは胸やけや呑酸といった定型的食道症状の他に、喉頭炎、咳嗽、喘息、歯の酸蝕症を引き起こすこともあり、これらは食道外症状と呼ばれている18)。Case 3は食道外症状の1つである咳嗽を主訴とし、かつMII-pH検査で異常逆流を認め図5 Case 4食道胃接合部にLESとCDの分離はみられず(single-high pressure zone)、食道裂孔ヘルニアは認めなかった。食道体部蠕動は保たれており、シカゴ分類上は正常食道蠕動であった。CD, crural diaphragm; LES, lower esophageal sphincter; UES, upper esophageal sphincter.ボノプラザン抵抗性GERD患者の酸分泌状態の評価ない症例であった。一般に酸分泌抑制剤で効果を示さない食道外症状はGERDとの関連性が低いと考えられているが18)、Kahrilasら19)が行ったシステマティック・レビューでは、GERD関連性の咳嗽は酸分泌抑制剤では改善され難いという結果であった。したがって、咳嗽がGERDによって誘発されているかを正確に判断することは難しいが、Case 3ではMII-pH検査で食道知覚過敏症を認めたため、逆流防止術の適応となった。術後に咳嗽は改善されたことより、GERD関連性の咳嗽と確定診断することができた。食道知覚過敏症はボノプラザン抵抗性症状の一因となり得ることが、今回初めて示された。 Case 4は機能性食道障害であり、MII-pH検査でGERDや食道知覚過敏症は否定された。ボノプラザン抵抗性の症状では機能性食道障害を鑑別する必要性がある。機能性食道障害はGERDと関連しない食道症状で、Rome IV診断基準では上部消化管内視鏡検査やMII-pH検査で異常を認めない疾患と定義されている20)。消化管傷害に伴う食道症状と心理的・認知的要因による食道症状を厳密に区別することは不可能であり、昨今では機能性食道139嚥下正常蠕動波食道体部5 sUESLES+CD

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