臨床薬理の進歩 No.44
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方  法倫理的配慮 すべての被験者に対して、研究参加前に研究内容について文書を用いて説明し、同意書を用いて被験者の同意を確認した。本研究はヘルシンキ宣言に規定された生物医学研究のガイドラインに準拠し実施され、すべての研究プロトコルは国立がん研究センターの研究倫理審査委員会による承認を得て実施された。対象患者の選定 本研究では国立がん研究センター東病院消化管内科において、進行胃がんに対してFTD/TPIを投与されOXEIが実施可能な患者を対象とした。OXEIはFTD/TPI治療開始後、最初の外来受診日に実施した。治療効果判定は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)ver1.1に準じて実施した。DNAの消化と抽出 組織は採取後に液体窒素により凍結し使用まで-80 ℃以下で保存した。血液試料については血液を採取後3000×g、4 ℃で30分遠心した後上清部を血漿測定用試料とし、バッフィーコートを採取してPBMC用試料とした。いずれの試料も使用まで-80 ℃以下で保存した。DNA抽出にはNucleoSpin Tissue(タカラバイオ)を使用し、Kit記載のプロトコルに則り組織よりDNAを抽出した。抽出したDNAは濃度を測定した後DNAを消化した6)。LC-MS/MSによる測定 組織より抽出したDNAまたは血漿試料に内部標準(IS)を添加しアセトンによる除タンパク処理を実施した。試料は乾固して初期移動相を添加し室温で超音波処理して再溶解させた後、遠心式フィルターユニットによりろ過を行い測定試料とした。液体クロマトグラフィーはNexera-i LC-2040C Plus(島津)を用いて、検出にはLCMS-8060(島津)を用いて分析を実施した6)。免疫染色 組織は摘出後10%中性ホルマリンで固定しパラフィンに包埋した後厚さ4 µmで薄切した。試料は脱パラフィン、脱キシレン処理後流水で再水和し、1 mM EDTA(pH8.0)中で98 ℃、20分抗原賦活化を実施した。試料はその後室温で20分穏やかに冷却した後流水で洗浄し、0.3%メタノールにて内因性ペルオキシダーゼ処理を実施した。4%ブロックエース溶液(KAC)で30分ブロッキング処理を実施した後抗TK-1抗体(33A-10C、大鵬)を用いて4 ℃で一晩反応させた。TBS-Tで3回洗浄した後EnVision+System-HRP Labelled Polymer Anti-mouse(Agilent)を数滴滴下して室温で1時間反応させた。TBS-Tで3回洗浄した後、DABで呈色反応を実施し、ヘマトキシリンでカウンター染色を実施した。画像取得 腫瘍切片の血管成熟度を解析するため、各腫瘍について 10 箇所のホットスポットを選択し、Plan Apochromat 40× 対物レンズ(NA0.95、BZ-PA40、KEYENCE、大阪)付きの All-in-one fluorescence microscope(BZ-X710、KEYENCE、大阪)を用いて画像化した。CD31(緑)とα-SMA(赤)の蛍光免疫染色を各腫瘍切片で行い、CD31のみ陽性を未成熟血管、CD31とα-SMAの両方が陽性を成熟血管と定義した。赤色蛍光はCye5フィルター(ex: 620/60 nm、em: 700/75 nm、dichroic: 660 nm、OP-87766、KEYENCE、大阪)を使用して検出した。緑色蛍光はYFPフィルター(ex: 500/20 nm、em: 535/30 nm、dichroic: 515 nm、OP-87767、KEYENCE、大阪)を用いて検出した。GreenとRedの面積は、BZ-X Analyzerソフトウェア(BZ-H4A、KEYENCE、大阪)のハイブリッドセルカウントアプリケーション(BZ-H4C、KEYENCE、大阪)を用いて自動的に算出した。145145

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