臨床薬理の進歩 No.44
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)yp000001/( etar ecnedcn)yp000001/( etar ecnedcn ,iI0 ,iI0 ,iI0)yp000001/( etar ecnedcn図1 スウェーデンの18歳未満における脛骨骨幹部骨折の発生率の変化2002年~2016年(APC:年次変化率)図2 スウェーデンの成人と高齢者における脛骨骨幹部骨折の発生率の変化2002年~2016年ではFikaという、コーヒーブレイクの時間を非常に大切にする文化があり、Baxterでは毎昼食後がFikaの時間に充てられていました。そして、Fika中は研究に関する話題は極力話さないという暗黙の了解があったため、自身の国や文化に関して、あるいは、他国の気になることなど、皆で雑談をして親睦を深める時間となり、毎日が楽しく良い思い出になりました。 留学中は、スウェーデン全土対象の骨折データベースを用いて脛骨骨幹部骨折の発生率に関する疫学的・医療経済学的な観点からの検討をKIの整形外科学講座との共同研究で行いました。 スウェーデンでは、医療情報データベースを利用した研究が盛んです。その背景として、国民一人一人にpersonal identity number(PIN)という個人番号を付与し個人情報と紐づけている制度の存在があります。1947年に導入されたこの制度は、日本のマイナンバー制度と酷似していますが、住所・家族構成や銀行口座といった個人情報だけではなく、様々な医療情報も登録されており、個人番号がスウェーデンの医療機関における共通の診察券番号の様に使用されています。そのため、PINのIDカードは保険証や診察券としての役割も担い、日常生活においても、スーパーマーケットの会員になる際やインターネット回線を契約する際など様々なことに個人番号が利用されているため、利便性の高い制度となっています。紐づけられた医療情報からは、個人番号が分かれば、いつどこの医療機関で何という診断が下されたか、そして、何の薬がどの薬局で処方されたかを辿ることができます。また、転居等により受診する医療機関が変わった場合でも、個人番号から経過や転帰を追跡可能です。その結果、PIN制度を利用した医療情報データベース研究は、スウェーデン全土を対象としている研究も多く、選択バイアスや追跡不能176 (A) Men50APC: 6.0% (3.6 to 8.4), p < 0.001403020102002200420062008The elderlyAdultsAPC: -3.7% (-4.4 to -3.0), p < 0.0012010201220142016Year (B) Women50403020102002200420062008The elderlyAPC: 6.6% (5.9 to 7.3), p < 0.001AdultsAPC: -2.8% (-4.2 to -1.5), p < 0.0012010201220142016YearBoysGirls20082010201220142016YearAPC: -3.4% (-4.4 to -2.4), p < 0.001100806040APC: -2.5% (-3.3 to -1.6), p < 0.00120200220042006研究内容について

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