臨床薬理の進歩 No.44
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久保 智史KUBO SATOSHI写真1 メリーランド州の桜並木 臨床薬理研究振興財団の海外留学助成金を頂き、2019年4月から3年間、米国立衛生研究所(NIH)に留学してまいりましたのでご報告させて頂きます。私が渡米したのが2019年4月で、その年の12月ころから新型コロナウイルスの世界的大流行が始まりましたので、私の留学生活のほぼ全てがパンデミック下での生活でした。海外でパンデミックを経験するというのは、なかなかできない貴重な経験なのでしょうが、当時はそこまで思いを馳せることはできず、不安ばかり募る毎日でした。しかしそれでも研究との向き合い方も含めて、多くのことを学ぶことができました。このような貴重な機会を得ることができたのは臨床薬理研究振興財団の支援のおかげだと思っております。 NIHは広大な敷地を有し、年間予算は約6兆円、これまで150人以上のノーベル賞を輩出している名実ともに世界最大の研究所です。日本人研究者も多く留学していますし、日本人だけのコミュニティも形成されています。NIHについてPROFILE2013年 産業医科大学医学部第一内科学講座 助教2014年 産業医科大学大学院 医学研究科博士課程卒業2016年 産業医科大学若松病院 リウマチ糖尿病内科 助教産業医科大学医学部分子標的治療内科学講座2019年 米国立衛生研究所(NIH)、博士研究員2022年 産業医科大学医学部分子標的治療内科学講座 准教授はgoogleで調べれば多くの経験者が情報を載せていらっしゃるので、ことさら私がここで説明する意味も薄いので割愛したいと思います。 NIHはメリーランド州のベセスダという都市にあり、日本人研究者はベセスダから地下鉄で2駅ほど離れた街で暮らすことが多いです。NIH周辺の街は非常にバランスが取れていて大都市ではないですが、あらゆる種類の店が揃っており、日常生活で困ることはありませんでした。春には桜が満開になり、街に自然が調和した過ごしやすい場所でした(写真1)。また治安も良く、教育レベルも比較的高いので家族連れの留学にはとても良いと思います。178(2019年4月~2022年7月)はじめにNIHとメリーランド州米国立衛生研究所留学報告

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