臨床薬理の進歩 No.44
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図4 アジド基を持つINH #3の誘導体の、RA-FLSに対する、細胞毒性とサイトカイン・ケモカイン産生抑制効果基本骨格の側鎖にアジド基を付加したINH #3D-#3Gを、RA-FLSに加え、TNFα 1 ng/mLで刺激し、24時間後の細胞活性、CXCL8/IL-8、IL-6を、DMSO投与群を基準として、割合で表示した(平均±SEM)。(a-c)Calcein-AMによる細胞活性。(d-f)CXCL8/IL-8、(g-i)IL-6(a)(%)(b)(%)(c)(%)(d)(%)(e)(%)(f)(%)(g)(%)(h)(%)(i)(%) INH #3の誘導体ではINH #3A-#3Cにおいては、細胞毒性を有さなかったが、IL-6、CXCL8/IL-8の産生抑制効果はリード化合物に劣っていた(図3a-3c)。アジド基を付したINH #3の誘導体INH #3D-#3Fは、10 μMの濃度でWST-8活性が著しく低下した。アジド基がWST-8の反応を阻害する可能性があるため、Calcein-AMを用いて、細胞毒性を評価した(図4)。その結果、多くの誘導体でWST-8と同様に、10 μM以上の濃度で、細胞毒性が観察された。INH #3GはCalcein-AMにおいて活性低下は認めなかったが、CXCL8/IL-8の産生抑制はリード化合物に劣っていた。炎症モデルマウスにおける、リード化合物のTNFα産生抑制作用 次に我々は、in vivoにおける化合物の有効性を確認するため、誘導体を含むすべての化合物の中で最も効果が高かったリード化合物 INH #1とINH #3をマウスに投与した。化合物にLPSとD-(+)- Galactosamine Hydrochlorideを共に投与すると (LPS/d-GalN)、炎症性サイトカインの誘導を増強することが知られている6)。我々は、LPS/d-GalNの投与1時間前に予防的に化合物を投与し、1.5時間後のTNFα産生を確認した(図5a-5b)。INH #1は、2000 nmoL以上の投与で、用量依存性にTNFαの産生に低下させた(p<0.05)。INH #3は生体内ではTNFα産生を抑制しなかった。17CXCL8/IL-8IL-6細胞活性

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