臨床薬理の進歩 No.44
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結  果① 変数増減法を用いて、患者サンプルおよび健常成人サンプルの2群を分けるために最も有意な説明変数の組み合わせ、すなわちバイオマーカー候補の修飾核酸を選定する。② 2群を分けるための予測モデル式を算出するため、ロジスティック回帰分析を行う。目的変数をがんの診断、説明変数を選定された修飾核酸とする。患者群と健常成人群のそれぞれの中でトレーニングセット(全体の3/4のサンプル数)とバリデーションセット(全体の1/4のサンプル数)に分ける。トレーニングセットにて2群を区別するために、選定された修飾核酸による最適な判別式と、カットオフ値を作成する。各修飾核酸の測定値を当てはめ、得られたp値がカットオフ値以上のとき、そのサンプルを肺がんと診断する。このモデル式をバリデーションセットへ当てはめることで、感度、特異度、精度、AUCを求め、患者と健常成人を区別できるか評価する。③ 交差検証の1つである分割交差検証を採用する。患者群と健常成人群をそれぞれ4グループに分け、3グループをトレーニングセットとして予測モデル式を算出し、残り1グループをバリデーションセットとしてモデル式を当てはめて感度、特異度、精度、AUCを算出する。トレーニングセットとバリデーションセットを入れ替えながら4回の繰り返し解析を行い、得られた4回分の結果を平均化し、診断モデルの妥当性を評価する。 定量系構築に必要な標品および内部標準物質を用意するため、入手困難な化合物について有機合成を行った。分析対象の標品としての修飾核酸は9種(D、m3U、Am、m1I、m7I、ac4C、m1G、g6A、t6A)合成した。安定同位体については重水素化されたメチル化剤(CD3I)やアセチル化剤(CD3COCl)を用いるか、佐治木らによって開発された、重水溶媒中で白金族元素(Pd/CやPt/C)を用いる26AdenosineCytidineGuanosine図4 分析対象の修飾核酸とその安定同位体UridineInosine

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