臨床薬理の進歩 No.44
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考  察謝  辞 今回の結果は、実際の臨床検体(便検体)を基にして十分解析に耐え得るシーケンス結果が得られたことを示している。今後はこのシーケンス結果を用いて各検体中の腸内細菌叢の組成を調べる予定である。 また、メタデータとして、これらの患者は大腿骨近位部骨折や変形性股関節症という疾患の情報、骨密度や血液検査といった各種の臨床検査の情報、既往歴や薬剤歴といった患者背景を有している。食事の情報に関しても、骨代謝に関係の強いビタミンやミネラルを中心に、それらの摂取量を推定するための情報を聴取済である。 これらを活用して腸内細菌叢のプロファイルを各種の臨床情報と照らし合わせることで骨代謝への寄与の大きい菌種を絞り込み、さらに食事の情報と照合することで、食生活への介入による骨粗鬆症の治療や予防に役立てたい。 また、上述の結果は骨折罹患集団を対象としたものであるが、同様の研究を一般集団を対象としても実施中である。今後は両者の結果を統合することでリスクの層別化に役立てていきたい。 本研究にご参加いただいた被験者の方々、および本研究に助成していただいた臨床薬理研究振興財団に感謝申し上げます。34

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