臨床薬理の進歩 No.44
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 世界各国での新型コロナウイルスによるパンデミックも終息の兆しを見せております。我が国でも5月8日より2類から5類へ移行することとなりました。この間、感染者数の把握、病床の確保などはもとより、ワクチンや治療薬の迅速な開発が切望され、その有効性や安全性が日々ニュースなどで報じられ、国民の皆様に医薬品開発の重要性が強く認識される機会となりました。新型コロナウイルス対策に日夜、最前線で活躍された医療従事者、それを支えられた多くの関係者の皆様のご努力に、深く感謝の意を表します。 このたび、2019年以来、4年ぶりに編集会議が対面で開催され、白熱した議論が交わされ感無量でした。今回のパンデミックに伴う行動制限により、医療機関内外の移動の制限や研究停止期間など、研究にも多くの支障があったことと思われます。またコロナ禍での留学も大変なご苦労をされたことと思います。さらに世界情勢の不安定から、光熱費・水道料などの物価の高騰、医薬品・試薬・機器の輸出入の遅延などが起こり、研究も多大な影響を受けたことと推察いたします。こうした中で、各報告書に、臨床薬理研究振興財団の研究助成に対する謝辞が明確に記載されていたことも、皆様のご苦労と感謝の気持ちの表れで、とても印象的でした。 本誌には、2018~2020年度研究奨励金による研究報告が20編掲載されております。20編の研究分野は多岐にわたり、病態や副作用の機序解明を基盤にした治療法や診断法の開発に貢献するものであり、特に、5編の大賞受賞研究は先端的な臨床薬理学研究と言えるものでした。海外留学助成金による2編の報告は、データ駆動型研究や国際誌公表など、いずれも臨床薬理学の最先端研究に貢献する成果をあげられております。最後に、編集作業を通して、本助成が、研究者の大きな励みとなり臨床薬理学の発展に貢献していることを改めて実感することができました。是非、ご一読いただき、今後の医療・健康にかかわる研究の参考にしていただけると幸いです。2023年4月大戸 茂弘ま え が き

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