臨床薬理の進歩 No.44
52/235

(01gol-)P染色体番号結  果ゲノム編集を用いた疾患感受性バリアントの機能的検証 様々な薬物を原因とする重症薬疹の疾患感受性遺伝子HLA-A、HLA-B、HLA-Cにおいて、日本人で頻度が高いアリル(95パーセンタイル以上)について、健康成人のゲノムDNAよりPrimeSTAR GXLを用いてそれらすべての遺伝子全長を増幅し、クローニングをした。その後、サンガーシークエンス法によりそれぞれのHLAアリルにおけるDNA配列が正しいことを確認した。 また、ゲノムDNAにおいてHLA-A、HLA-B、HLA-Cをそれぞれ完全に欠損したHeLa細胞を、Guide-itTM CRISPR/Cas9 System(Clontech)を用いたゲノム編集にて作成した。統計解析 全ゲノムシークエンス解析を用いた症例対照関連解析における統計手法には、カイ二乗検定を利用した。統計学的な有意水準は、GWASにも利用される多重検定の補正を加味したp < 5.0×10-8(ゲノムワイド有意水準)と設定した。 また、それぞれの遺伝子にrare variantの集積が見られるか否かに関する検討には、Wald’s test 図1 全ゲノムシークエンス解析による日本人感冒薬関連重症薬疹を対象とした症例対照関連解析横軸はそれぞれのバリアントが存在する染色体上の位置、縦軸は感冒薬関連重症薬疹の疾患感受性との関連の強さを示す(カイ二乗検定:p値は負の常用対数)。縦軸の高い位置にあるバリアントほど、疾患との関連が強い。およびoptimal sequence kernel association test (SKAT-O)を統計手法として用いた。統計学的な有意水準は、ボンフェローニの補正を加味したp < 2.89×10-6(= 0.05/17315)と設定した。全ゲノムシークエンス解析を用いた症例対照関連解析 133例の感冒薬関連重症薬疹症例および418例の健康成人を対象とした全ゲノムシークエンス解析によって、合計21,207,465か所のバリアントが検出された。平均カバレッジは、患者群は41.6、対照群は41.4であった。検出されたすべてのバリアント(マイナーアリル頻度が1%以上のもの)の遺伝子型を患者群と対照群で比較したところ、HLA-A近傍に位置するrs6457109(オッズ比: 2.60; p = 2.95×10-16)、BRD7近傍に位置するrs6500265(オッズ比: 2.65; p = 5.96×10-9)が、それぞれ疾患感受性との有意な関連を示した(図1)6)。重症薬疹関連バリアントの遺伝子発現量への寄与 全ゲノムシークエンスデータとトランスクリプ38

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る