臨床薬理の進歩 No.44
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HLA-AA*24:02A*02:01A*02:06A*11:01A*31:01A*26:01A*33:03A*02:07A*26:03(%)36.2111.239.508.918.627.647.373.252.51HLA-BB*52:01B*51:01B*35:01B*15:01B*40:02B*54:01B*44:03B*40:01B*07:02B*40:06B*46:01B*39:01B*48:01B*55:02B*59:01B*15:18B*13:01B*67:01B*15:11B*56:01HLA-CC*01:02C*03:03C*07:02C*03:04C*12:02C*08:01C*14:02C*14:03C*04:01C*15:02(%)17.2614.0012.7012.1710.887.346.826.414.343.10表1 日本人において頻度の高いHLA class Ⅰアリル剤に起因する重症薬疹においては、別のHLAアリルがその原因になる。例えば、日本人のアロプリノール関連重症薬疹ではHLA-B*58:01が7)、サルファ剤関連重症薬疹ではHLA-A*11:01が8)、それぞれ疾患感受性との強い関連を示す。しかしながら、やはりいずれも詳細な発症機序の解明には至っていないというのが現状である。 そこで、重症薬疹発症におけるHLAの個人差による影響を説明するための細胞レベルでの機能解析系の構築を目指し、HeLa細胞を対象とするゲノム編集を実施した。まず、HLA-A、HLA-B、HLA-Cそれぞれの全長(約8.5kb)をCRISPR/Cas9を利用して欠損させた細胞を樹立した。また、日本人において頻度の高いHLA-A、HLA-B、HLA-Cアリル(95パーセンタイル以上)のすべてについて、それらすべての遺伝子全長をクローニングした(表1)。現在、HLA欠損細胞へ、HLA-A、HLA-B、HLA-Cアリル全長のノックインを進めているところである。全ゲノムシークエンス解析を用いたrare variant探索 133例の感冒薬関連重症薬疹症例および418例の健康成人を対象とした全ゲノムシークエンス解析からは、マイナーアリル頻度が1%未満のrare variantも検出することができる。本研究では、ヒトゲノム中の遺伝子の中から、特に患者群において遺伝子機能に影響を与えるrare variantの割合が多い遺伝子を探索したところ、NSAIDs(感冒薬関連重症薬疹における原因薬剤の一つ)と同じくPGE2産生を抑制するTRPM8において、rare variantの集積が認められた(p < 5.77×10-5)。具体的には、11か所のミスセンス変異および2か所のナンセンス変異が見いだされ、感冒薬関連重症薬疹症例にのみに検出され健康成人に検出されなかったバリアントは8か所であった(図3)。 これらのバリアントが遺伝子機能に与える影響についてin silico解析にて検証したところ、感冒薬関連重症薬疹症例にのみ検出された8か所のバリアントは、いずれもTRPM8タンパク機能に対して(%)11.018.738.457.967.797.596.665.565.434.794.513.402.892.472.031.581.171.130.940.9140

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