臨床薬理の進歩 No.44
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χ2p2表2 妊娠中の抗精神病薬服薬状況と新生児転帰新生児低体重アプガースコア 1分アプガースコア 5分新生児不適応症候群新生児黄疸低血糖胎便吸引症候群服薬継続群(n = 23)なしあり19 (82.6)4 (17.4)≧ 7≦ 620 (87.0)3 (13.0)≧ 7≦ 622 (95.7)1 (4.3)なしあり18 (78.3)5 (21.7)なしあり20 (87.0)3 (2.0)なしあり22 (95.7)1 (4.3)なしあり22 (95.7)1 (4.3)中断群健常成人群(n = 86)(n = 15)15 (100)0 (0.0)79 (92.9)6 (7.1)13 (86.7)2 (13.3)81 (94.2)5 (5.8)14 (93.3)1 (6.7)85 (98.8)1 (1.2)13 (86.7)2 (13.3)86 (100)0 (0.0)12 (80.0)3 (20.0)81 (94.2)5 (5.8)15 (100)0 (0.0)80 (93.0)6 (7.0)14 (93.3)1 (6.7)83 (96.5)3 (3.5)考  察df17.994( )は%を示す。服薬状況(継続群・中断群)と新生児転帰の連関を検討するため健常成人群を含めた3群間でχ2検定を行った。*服薬状況と新生児不適応症候群の連関があるかを検討するためにχ2検定を行った。その結果、服薬状況と新生児不適応症候群に有意な連関が認められた(χ2 (2) = 17.944、p < 0.001)。残差分析の結果、新生児不適応症候群の発生率が、服薬継続群(21.7%)が健常成人群(0.0%)に比べて有意に高かった(p < 0.05)。有意差は認めなかった。妊娠中の抗精神病薬服用量と産科的転帰 表3に示すとおり、妊娠時・妊娠26週以降・分娩時のCP換算値と妊娠糖尿病・早産・胎児発育不全・妊娠高血圧症候群について有意差は見られなかった。妊娠中の抗精神病薬服用量と新生児転帰 表4に示すとおり、妊娠26週以降および分娩時の抗精神病薬服用量が、新生児不適応症候群リスクを有意に増加させる結果が得られた(妊娠26週以降CPオッズ比1.006、95%信頼区間 1.001–1.011、p = 0.026;分娩時CPオッズ比1.005、95%信頼区間1.001–1.010、p = 0.025)。 本研究知見をまとめると次の4点である。①妊娠中の抗精神病薬継続は、妊娠糖尿病発症と連関していたが、胎児発育不全や早産、妊娠高血圧症候群とは連関は認めなかった、②妊娠中の抗精神病薬継続は、新生児不適応症候群発症と連関していたが、新生児低体重・アプガースコア・新生児黄疸・低血糖・胎便吸引症候群とは連関は認めなかった、③妊娠中の抗精神病薬服用量は妊娠糖尿病・早産・胎児発育不全・妊娠高血圧症候群と関連はみられなかった、④妊娠26週以降および分娩時の抗精神病薬服用量が高いことは、新生児不適応症候群のリスク増加となる。 抗精神病薬と妊娠糖尿病については、Kucukgoncu n.s.n.s.n.s.<0.001*n.s.n.s.n.s.63

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