臨床薬理の進歩 No.44
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表1 患者背景在胎期間(週)出生体重(g)腎機能障害例(%)既存薬不応例(%)総クール数血中濃度測定回数最終投与から血中濃度測定までの時間表2 アセトアミノフェン静注療法の薬物動態パラメータ分布容積(Vd)[L/kg]クリアランス(CL)[L/kg/hr]消失速度定数(ke)[1/hr]消失半減期(t1/2)[hr]結  果評価項目薬物動態パラメータ中央値(四分位範囲)25.6 (24.7 - 28.4)825 (653 - 1,036)5 (56%)5 (56%)2 (1 - 3)2 (1 - 3)6.0 (4.0 - 23.5)中央値(四分位範囲)0.544 (0.476 - 0.638)0.034 (0.024 - 0.082)0.062 (0.051 - 0.063)11.11 (10.20 - 13.46)23例 アセトアミノフェン投与14例 血中濃度測定なし9例 血中濃度測定あり図1 対象患者後方視的観察研究患者背景 2017年7月1日から2019年3月31日に、既存薬に不応または禁忌のPDAに対するアセトアミノフェン静注療法を行った早産児は23例であった。血中濃度を測定しなかった14例を除いた9例(39%)を今回の研究対象とした(図1)。対象児の在胎期間中央値(四分位範囲)は25.6(24.7–28.4)週、出生体重中央値(四分位範囲)は825(653–1,036)gであった。アセトアミノフェンを投与した理由は、既存薬禁忌(腎機能障害)、既存薬不応ともに、5例(56%)であった(1例重複あり)。総クール数および血中濃度測定回数の中央値(四分位範囲)はともに2(1–3)回であった。最終投与から血中濃度測定までの時間中央値(四分位範囲)は、6.0(4.0–23.5)時間であった(表1)。薬物動態パラメータ 表2に算出された薬物動態パラメータを示す。Vd、CL、ke、t1/2の中央値(四分位範囲)はそれぞれ、0.544(0.476–0.638)L/kg、0.034(0.024–0.082)L/kg/hr、0.062(0.051–0.063)1/hr、11.11(10.20–13.46)hrであった。腎機能障害と薬物動態パラメータ 腎機能障害とPDAに対するアセトアミノフェン静注療法の薬物動態パラメータの相関を検討した。CLは、Scrと負の相関を示し(y =−0.0367x+0.1162、R² = 0.5398、図2A)、keは、尿量と正の相関関係を示した(y = 0.0552x−0.0943、R² = 0.8994、図2B)。前方視的観察研究 現在、目標症例数15例に向け、症例を集積中である。8181

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