臨床薬理の進歩 No.45
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2017年3月~2019年12月PD-L1 TPS ≧50%の進行期非小細胞肺癌患者*EGFR変異、 ALK、ROS1融合遺伝子を有する症例は除外する一次化学療法としてPembrolizumabの投与を受けた症例合計:82症例観察期間中央値1121[373-1504]日除外症例;5例:腫瘍組織サンプルが足りない9例:腫瘍組織サンプルが存在しない5例:NGS解析が失敗1例:臨床情報が欠如1例:グレード5肺臓炎にて死亡解析対象症例:61症例図1 対象患者のフローチャート結  果対象症例 2017年3月~2019年12月までで大阪国際がんセンターで一次治療としてPembrolizumabが投与されたPD-L1 TPS≧50%の症例で本研究に同意を得た症例は82例であった。そのうち、保存検体を用いたTSO500の解析が可能であった症例は61例であった(図1)。対象症例におけるPembrolizumabの効果についての観察期間は中央値で1121[373-1504]日であった。症例の年齢中央値は70[47-89]歳、男性が46例(75.4%)、女性が15例(24.6%)であった。喫煙歴については56例(91.8%)がCurrentもしくはFormer smokerであった。肺癌の組織型は31例(50.8%)が腺癌、22例(36.1%)が扁平上皮癌、その他の組織型が8例(13.1%)であった。ECOG PS 0-1が50例(82.0%)、2が11例(18.0%)であった。臨床病期はⅢb、c期が5例(8.2%)、Ⅳa期が29例(47.5%)、IVb期が27例(44.3%)であった。PD-L1 TPSは50%以上80%未満が28例(45.9%)、80%以上が33例(54.1%)であった(表1)。TSO500の解析結果 TSO500の解析が成功した症例は61例で検出された変異全体のheat mapを図2に示す。検出された変異の上位頻度(10%以上)の遺伝子は以下の通り表1 対象患者の臨床的特徴Age, median (range)Sex Male FemaleSmoking Status Current/ Former Brinkman Index median (range) NeverHistology Adenocarcinoma Squamous cell carcinoma Non-small cell carcinomaECOG performance status 0-1/2clinical stage Ⅲb、c Ⅳa ⅣbPD-L1 TPS50≦TPS<8080≦TPS<100であった。TP53(67%)、KRAS(36%)、MYC(18%)、CDK4(13%)、MET(13%)、PIK3CA(13%)、 ERBB2(11%)、KEAP1(11%)、CDKN2A(10%)、EGFR(10%)、FGF19(10%)、FGFR1(10%)。TMBは全体で中央値 9.4[2.4-30.6]/Mbであった。PD-1阻害剤のPFSと変異との相関解析 PembrolizumabのPFSの中央値は9.0[4.8-38.0]ヶ月であり(図3A)、TSO500で検出された変異とPFSとの相関について無作為に検討したところ、TP53とERBB2の増幅の共変異(図3B)、NFE2L2変異(図3C)を有する症例では有意にPFSが短くなる傾向を認め、KEAP1変異(図3D)においてもPFSが短くなる傾向を認めた。70 (47-89)46 (75.4)15 (24.6)56 (91.8)880 (150-2300)5 (8.2)31 (50.8)22 (36.1)8 (13.1)50 (82.0)/11 (18.0)5 (8.2)29 (47.5)27 (44.3)28 (45.9)33 (54.1)9595

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